難民受け入れに前向きな独産業界、人材不足を背景に
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【9月7日 AFP】連日大勢の難民が到着しているドイツで、彼らに仕事の機会を提供しようとの声が産業界から上がり始めている。
戦争や迫害のため祖国を逃れ、欧州に避難してきた大勢のシリア人やアフガニスタン人、エリトリア人らにとっては、コソボやアルバニアの人々と同じく、ドイツが主要な目的地となっている。欧州の経済大国ドイツでは今年、亡命希望者が過去最高の80万人に上るとみられている。
ドイツでの難民保護をめぐっては、人道的な責務以外に、人材の確保といった側面で、産業界からも受け入れに前向きな姿勢がうかがえる。同国の産業界では、急速な高齢化と出生率の低下により優秀な人材が徐々に減少し始めていることがその背景にある。
ドイツの失業率は現在、東西統一以降で最低水準となっているが、ドイツ経営者団体連盟(BDA)の推計によると、エンジニアやプログラマー、技術者などが14万人不足している他、医療従事者やレジャー産業でも人手が足りない状態が続いているという。また産業界全体を通じて、今年は約4万か所の研修施設で空きが出ることも予想されている。
ドイツ産業連盟(Federal Association of German Industries、BDI)のウルリッヒ・グリロ(Ulrich Grillo)会長は、移民の多くは若者で「非常に素晴らしい能力」を持っていると述べ、この人手不足の問題において何かしらの解決策となる可能性があるとしている。
事実、地方レベルでは、新たに到着した難民らに門戸を開く企業も増えている。南部バイエルン(Bavaria)州アウクスブルク(Augsburg)地方では、こうした問題に専門的に取り組む「異文化間アドバイザー」が地元の手工業会議所「HWK」によって新たに設置され、これまでに難民63人が研修プログラムの受講を開始している。
こうした各自治体での成功から、国レベルでの対応についても期待する声がBDAの代表らから上がっている。その中には、移民登録の際にそれぞれの技能や教育のレベルを把握できるようにすることや、またドイツ語の習得に向け予算を充てることも含まれている。HWKの代表は「労働市場への登録や実習の予約を行う際に、ドイツ語のスキルが足りていないことが見受けられる」と述べている。
独労働社会省は7月、難民らが企業のインターンシップ制度に参加できる条件を緩和した。アンドレア・ナーレス(Andrea Nahles)労働社会相は、「難民としてこの国に到着した人々は、速やかにわれわれの隣人や同僚になるべきだ」と述べている。(c)AFP/Mathilde RICHTER