水死したシリア男児、故郷コバニで埋葬へ 父親が帰郷
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【9月4日 AFP】(一部更新、写真追加)トルコの浜辺に遺体が打ち上げられ、その写真が世界中に衝撃を与えた3歳のシリア人男児の父親アブドラ・クルディ(Abdullah Kurdi)さんが4日、故郷のシリア・アインアルアラブ(Ain al-Arab、クルド名:コバニ、Kobane)に男児らの遺体とともに帰還した。男児らは故郷で埋葬される。AFPカメラマンが伝えた。
3日、クルディさんと家族を乗せて欧州を目指していたボートが沈没し、写真の男児の他、クルディさんの妻と別の息子も水死した。クルディさんは4日、妻と男児2人の遺体を納めたひつぎとともにトルコのシリア国境沿いの町スルチ(Suruc)に到着。クルディさんとひつぎを乗せた車はシリアのアインアルアラブに入り、その後再びトルコ側に戻った。その間、同行していた記者や活動家らは国境で足止めされた。
シリア側のAFP記者によると、アインアルアラブでは、クルディさんの家族を「戦争を逃れようとして命を落としたコバニの殉教者」として埋葬する準備が進められている。
■唯一の望みは「シリアの平和」
クルディさんは悲劇の舞台となったトルコのエーゲ海(Aegean Sea)沿岸からイスタンブール(Istanbul)に行き、それからトルコ南東部のウルファ(Urfa)に移動した。
イスタンブールのアタチュルク国際空港(Ataturk International Airport)でトルコの通信社ドーガン(Dogan)の取材に応じたクルディさんは、依然としてショックを隠せない様子で「子どもを失った父親としては、自分のために望むものはこの世界に何もない」「私が唯一望むのは、シリアの悲劇が今すぐ終わり、平和が戻ることだ」と語った。
同行していた記者や活動家らは国境で足止めされたが、トルコの議員数人は、葬儀に参列するため国境を越えた。
クルディさん一家はカナダに行く計画を立てていたと報じられているが、カナダ政府は同家族からの難民申請は受け取っていないと述べている。(c)AFP