【9月4日 AFP】シリア難民のアブ・ヤマン(Abu al-Yaman)さんは、トルコの海岸でうつぶせに横たわる幼いアイラン(Aylan Kurdi)君の写真を見た時、「娘をきつく抱きしめた。あの罪のない子どもは、自分の娘だったかもしれないと思った」という。

 ヤマンさんは、他の数百万人の人々と同様に、この写真にくぎ付けになった。アイラン君は、欧州での新生活を夢見てトルコからギリシャのコス(Kos)島へ向かっていたボートが転覆した際、母親や兄と共に水死した。

 戦闘が続くシリア中部ホムス(Homs)県を逃れ、隣国ヨルダンの首都アンマン(Amman)の貧困地域に暮らす40代の母親、ウム・フセイン(Umm Hussein)さんは、この写真は自分にとってつらすぎると語る。「私たちは爆撃や破壊を目にしてきた。でも、ただシリアに生まれてしまっただけで何の罪もないあの子の写真には、私は耐えられなかった」と涙ながらに語った。

 ウム・フセインさんには、子どもたちを学校に行かせる経済的な余裕はないという。また、難民を十分に受け入れていないとして、ソーシャルメディア上での抗議運動の標的となっている湾岸アラブの裕福な石油産出国たちに対しては、激しい怒りを覚えると語った。

「アラブ諸国の指導者たちは、あの写真を見ても恥ずかしくないのか」「武器庫でさびつくだけの兵器や世界一の高層タワーの建設には数十億ドルを費やすのに、シリア人の苦しみを無視して私たちを閉め出している」

 4年半にわたり続くシリア内戦では24万人以上が死亡し、国民の半数近くが自宅を追われたとされる。このうちの約400万人は、隣国のヨルダンやレバノン、トルコをはじめとする周辺国に逃れた。

 国連(UN)は、ヨルダンがこれまでに少なくとも60万人のシリア難民を受け入れたとしているが、ヨルダン政府は140万人を受け入れたと主張している。このうちの8万人近くは、ヨルダン北部の広大な砂漠地帯に設置されたザータリ(Zaatari)難民キャンプで暮らしている。

 同キャンプで生活する教師のアブ・マレク(Abu Malek)さん(30)は、「シリア人の遺体が海岸に打ち上げられたり、海に浮かんだりするようになるとは、想像もしなかった」と語る。

 また、ルイ(Louei)さん(19)も、アラブ諸国に「見放された」と感じているといい、「この写真は、永遠にあの国々に付きまとうだろう」と語った。(c)AFP/Mussa Hattar