【9月3日 AFP】パレスチナ解放機構(PLO)の故ヤセル・アラファト(Yasser Arafat)前議長が毒殺されたとの疑惑を調べていたフランスの司法当局は、これを裏付ける十分な証拠がないとして、捜査の打ち切りを決定した。検察当局が2日、明らかにした。

 アラファト氏は2004年、ヨルダン川西岸地区(West Bank)ラマラ(Ramallah)にある議長府で体調を崩し、パリ(Paris)郊外ペルシー(Percy)にある軍病院に移送されたが、同年11月に75歳で死去した。

 パレスチナ人の多くはイスラエルがアラファト氏を毒殺したと非難したが、イスラエルは断固としてこれを否定した。またアラファト氏の妻のスーハ(Suha Arafat)夫人は、同氏が毒殺されたと主張、毒性の強い放射性物質のポロニウムが使われた可能性が高いとしていた。

 遺体を調査したスイスの研究機関は、遺体から「異常に高いレベルのポロニウム」が検出されたとする鑑定結果を出していたが、フランスの専門家らは同氏の墓や遺体から見つかったポロニウムは「自然界に由来するもの」だとの見解を示していた。

 検察当局者によると、予審判事はこのたび、「第三者が関与したことを示す十分な証拠がない」として毒殺説を否定したという。

 捜査打ち切りの決定について、スーハ夫人の弁護士は「根本的に偏った」ものだと非難。パレスチナ当局の審査委員会もまた、決定は受け入れられないとして、独自の調査を続けると表明した。(c)AFP