【9月3日 AFP】トルコ沖で移民らを乗せた船が転覆した後、海岸に打ち上げられた男児の遺体を写した写真が、大きな反響を巻き起こしている。

 トルコの通信社ドーガン(Dogan)が撮影した写真には、トルコ・ボドルム(Bodrum)近くの砂浜にうつぶせに横たわる男児の遺体が写っている。遺体はその後、警官によって拾い上げられた。

 写真はインターネット上で広く共有され、ツイッター(Twitter)上ではハッシュタグ「#KiyiyaVuranInsanlik(海岸に打ち上げられた人間性)」が世界のトレンド上位に入った。

 英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)は「難民危機の真の悲劇を示す恐ろしい画像」との見出しを掲載。英紙ガーディアン(Guardian)は、この写真によって悲惨な現状が「思い知らされた」と報じた。

 英紙インディペンデント(Independent)は、「もし、シリア人の子どもの遺体を写したこの非常に力強い写真をもってしても、欧州の難民に対する姿勢が変わらないとしたら、いったいどうやったら変わるというのか」と報じた。

 また、ハフィントン・ポスト(Huffington Post)英国版は、「何とかしろよ、デービッド」と、同国に到着する移民に対し強硬策をとるデービッド・キャメロン(David Cameron)英首相に迫った。

 スペインでは、エルパイス(El Pais)、エルムンド(El Mundo)、エルペリオディコ(El Periodico)の各紙のウェブサイトも写真を掲載。エルペリオディコ紙は「欧州の水死」とのタイトルを写真につけた。

 男児は、ギリシャのコス(Kos)島に向かう途中の2日にトルコ海域で沈没した移民船2隻に乗っていて死亡したシリア人のうちの一人とみられている。

 死亡したのは少なくとも12人で、うち5人が子ども、1人が女性だった。他に15人が救出され、救命胴衣を着け海岸にたどり着いて助かった人もいた。(c)AFP