「青い目のヤジディーをくれ」 捕らわれの10代女性が見たISの奴隷市場
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【9月3日 AFP】誘拐、暴力、人身売買、レイプ。イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」が運営しているイラクの国際市場では、キリスト教徒や少数派ヤジディー教徒の女性たちが性奴隷として売られている──ISから逃れてきた10代の女性が1日、AFPに語った。
ヤジディー教徒のジナンさん(18)がISの戦闘員たちに捕まり、人質となったのは2014年の初め。3か月後に脱走するまでの苦難をつづった著書「Daesh's Slave(ダーイシュの奴隷)」が今月4日に出版されるにあたり、仏パリ(Paris)を訪れた。「ダーイシュ」とはISのアラビア語での略語だ。ジナンさんはこの著書をフランスのジャーナリスト、ティエリ・オベルレ(Thierry Oberle)氏の協力を得て執筆した。
ISがイラク北部のヤジディー教徒が暮らす土地を包囲する中で捕らわれの身となったジナンさんは何度か移動させられた末に2人の男に買われた。ジナンさんを買った男の一人は元警官、もう一人はイマームと呼ばれるイスラム教の指導者だった。ジナンさんはAFPに対し、自分や他の拘束されたヤジディー教徒たちが1軒の家に閉じ込められていた様子を語った。「拷問されました。私たちを強制的に改宗させようとしたんです。拒めば殴られ、灼熱(しゃくねつ)の中、野外で鎖につながれ、死んだネズミが入った水を無理やり飲まされました。電気を使って拷問すると脅されたこともありました」
「あの男たちは人間じゃない。彼らの頭の中には死、つまり殺すことしかない。常にドラッグを使っていて、誰に対しても復讐(ふくしゅう)しようとする。いつの日かISが全世界を支配すると言っていました」
著書の中では、イラク北部の都市モスル(Mosul)での体験も描かれている。「大きな円柱が立ち並ぶ巨大な客間に連れて行かれた……そこには何十人もの女性が集められていた」「大声で笑いながら私たちを見て回る戦闘員たちに尻をつねられた」。一人の男が文句を言っているのが聞こえた。「あいつは胸がでかい。けど、俺が欲しいのは目が青くて肌が白いヤジディーだ。奴らが一番だろう。金は払うぜ」