【9月2日 AFP】東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会（The Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games）は1日、盗用疑惑により批判を浴びていた大会エンブレムを使用中止にすると発表した。

 2020年に開催される東京五輪は、メーン会場になる新国立競技場 （New National Stadium Japan）の建設計画が費用高騰のため白紙撤回されており、エンブレム変更でさらなる失態を演じることになった。

 盗用疑惑が浮上し、エンブレムを作成したデザイナーの信頼性に対する疑問が膨らむなか、大会組織委員会は今回の使用中止の決断を下した。

 1日に急きょ開かれた記者会見で、大会組織委員会の上層部は、数日前に示していたデザイナーの佐野研二郎（Kenjiro Sano）氏を擁護する姿勢を一転させ、エンブレムの使用中止を発表した。

 今回の決定は、佐野氏がデザインを盗用したと主張しているデザイナーのオリビエ・ドビ（Olivier Debie）氏の訴訟への対応ではないとしている。

 大会組織委員会は、佐野氏が自身の大会エンブレムを展示する場所のイメージとしてネット上に投稿されていた東京各所の画像を流用したことで、国民の信頼が失われた点について言及している。

 大会組織委の武藤敏郎（Toshiro Muto）事務総長は、ドビ氏のデザイン盗用の主張に対し、「2つのロゴは別物だと確信しています」と反論している。

「ですが、週末にかけて新たな局面（佐野氏の画像流用）を迎え、強まる危機感を放置できないと考えました。国民の支援を得られないと判断し、今回（エンブレムの）使用中止の決定を下しました」

 武藤事務総長はまた、東京五輪への悪影響を避けるため、佐野氏自身がエンブレムの使用中止を求めていたことも明らかにしている。

 武藤事務総長は、「東京五輪を象徴し、国民に愛されサポートされる新たなエンブレムを作ってまいりたいと思います」と語った。

 新たなエンブレムが発表される時期の詳細については明らかにされていないが、デザインは公募で選考されると発表されている。

 大会組織委員会のエンブレム使用中止決定を受けて、東京都の舛添要一（Yoichi Masuzoe）知事は、怒りをにじませながら、「これは信頼性の問題です。佐野氏にはきちんと説明してほしい。裏切られたな、と感じています」とコメントした。 

 大会スポンサーの日本航空（Japan Airlines）などは、すでにエンブレムを使用した広告キャンペーンを展開しており、エンブレム変更は巨額のスポンサー契約にも影響が必至となっている。

 一方、デザイン盗用を主張するドビ氏は、「われわれは勝利した」とコメントしたものの、責任の所在が不透明だとして、訴訟を継続することを明らかにしている。

「盗作されたことを証明するのは不可能だが、事実はそこにある。レイアウトとタイポグラフィーはほとんど同じだ」

「2020年のエンブレムを見るたび、私は心の中でこのように思うだろう。『それは私が2011年に作成したデザインだ』ってね」

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