【8月26日 AFP】貪欲な無数のヒトデから攻撃される太平洋(Pacific Ocean)のサンゴが、天敵であるはずの海藻に守られていたことが分かった。研究者らが26日、明らかにした。

 海藻はサンゴ礁の不安定な生態系にとって優しい存在ではない。有害な化学物質を放出し、生命を育む太陽光をさえぎる。脅威にさらされている海洋無脊椎動物のサンゴにまとわりついてダメージを与える存在だ。

 しかし、英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」に掲載された論文によると、サンゴを食べるためサンゴにとってより大きな脅威となっているオニヒトデを海藻が撃退していることが分かったという。

 サンゴにとってはヒトデに襲われるより海藻に覆われる方がまだいい。「食べられるよりはましですから」と論文の共同執筆者で米ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)の大学院生のコディ・クレメンツ(Cody Clements)氏は述べている。

 クレメンツ氏らは、フィジー諸島(Fiji Islands)沖の海洋保護区で、2年間にわたってヒトデと海藻がサンゴに及ぼす働きを観察してきた。

 周囲に海藻がない場合、サンゴの塊は約4か月で2倍以上に成長したが、複数の海藻と共に生息したサンゴは同じ期間に40%しか成長しなかった。

 そこで研究者らがヒトデの攻撃を研究したところ、ヒトデはサンゴのむき出しになっている部分を攻撃し、伸びた海藻に覆われている部分は攻撃しないことが分かった。研究者らは2つの籠にサンゴのコロニーとヒトデと一緒に入れ、一方の籠にだけ海藻を入れた。海藻の茂み2つに囲まれたサンゴはヒトデに襲われる頻度が50%少なかったという。

 オニヒトデは、世界最大のサンゴ礁、グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)がある太平洋では大きな問題となっている。この25年で太平洋のサンゴは50%以上も減っており、その原因のかなりの部分はヒトデによるものだと研究者らは述べている。(c)AFP/Joshua Melvin