【8月21日 AFP】「K2」「スパイス」「Bizarro」「Scooby Snax」「Kryp2nite」「Stoopid」──さまざまな商品名で売られている偽大麻(脱法ハーブ、危険ドラッグに相当)に対し、当局が警鐘を鳴らしている。

 米国の警察や公衆衛生局によれば「合成大麻」の過剰摂取が原因とみられる死亡例や薬物関連の犯罪件数が全米で急増している。米麻薬取締局(DEA)のチャック・ローゼンバーグ(Chuck Rosenberg)局長は米公共ラジオ局NPR で、こうした事例は「全米の至る所で発生している」と話した。

 偽大麻は主に中国から輸入され、安価で入手できる。含有される化学合成成分の化学構造を少しずつ変えて類似物質を作ることで次々と新たな製品が開発され、法による規制が追い付いていないのが現状だ。米国中毒対策センター連合(AAPCC)によると、全米各地の中毒情報センターに今年これまでに寄せられた偽大麻に関する通報は5200件超に上り、14年の3680件、13年の2668件をすでに上回っている。

 ワシントン(Washington D.C.)市が若者を対象に運営するウェブサイト「k2zombiedc.com」は「偽大麻は極度の不安や妄想、パニック発作のほか、疎外感や解離、精神病症状の発現、幻覚などを引き起こす」と警告している。

■「中毒や死に至る恐れも」

 偽大麻は肉眼では通常の大麻のように見えるが、大麻の活性成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)に似た化学物質が含まれており、これが中毒作用や死を引き起こす危険性がある。

 こうした化学物質を植物片に吹きかけたものが偽大麻で、漫画や絵の付いた小さな袋に詰められて売られている。マリフアナ喫煙具店(ヘッドショップ)だけでなく、街角の店やガソリンスタンドなどでも密かに売られている他、インターネット上でもクレジットカードで簡単に購入できてしまう。

 しかし、米国立薬物乱用研究所(NIDA)のマリリン・ヒュエスティス(Marilyn Huestis)氏は「合成大麻」が脳に作用する強度は、通常大麻のTHCの最大100倍に達する可能性もあると指摘する。

 米ミシガン大学(University of Michigan)が行った2012年の調査で、高校3年生の薬物使用状況を調べたところ、ドラッグの中で偽大麻は、通常の大麻の次に多く使用されていることが分かった。

 偽大麻の中には米国の薬物規制法で、依存性の強さなどでヘロインと同じ「スケジュールⅠ」に分類されているものもある。だが、偽大麻は種類が無数にあり、大麻の類似物とみなすことができず、従って法にも抵触しない。ルイジアナ州毒物センター(Louisiana Poison Center)の責任者、マーク・ライアン(Mark Ryan)氏は「300種以上が出回っている」と話した。(c)AFP/Robert MACPHERSON