アルゼンチン軍政下で「盗まれた」男性、祖母との再会から1年
このニュースをシェア
【8月20日 AFP】自分がアルゼンチンの軍政下で拉致された赤ん坊の1人だったと知ってから1年。イグナシオ・モントーヤカルロット(Ignacio Montoya Carlotto)さん(37)は、まだ自分の身に起きたことを消化しきれてはいないが、自分のアイデンティティーを知ることができて幸せだったと語る。
昨年の8月5日、当時はイグナシオ・ウルバン(Ignacio Hurban)と呼ばれていたモントーヤカルロットさんは電話で、人権団体「5月広場の祖母たち(Abuelas de Plaza de Mayo)」の代表エステラ・デ・カルロット(Estela de Carlotto)さん(84)の孫であると確認されたというDNAテストの結果を告げられた。
同団体は、アルゼンチンの軍政時代(1976~83年)に政治犯から奪われた推定500人の赤ん坊を捜すために創設された。
カルロットさんは昨年の8月までに誘拐された赤ん坊113人を捜し出していたが、自分の孫はまだ見つかっていなかった。
その孫がついに見つかったというニュースは世界に感動を届けたが、モントーヤカルロットさんはアイデンティティーの混乱に直面したという。「1年前、私は知らない番号から電話をもらい、突然、家の前が人であふれるようになりました。私の人生はまったく変わってしまうのだと感じました」と、その日から1年を迎えた心境をネットで発表した。
「私にとってこの1年はとても長いものでした。まるで1000万年分を生きたような気分です。とても短い間に多くのことが起きました」と、モントーヤカルロットさんは首都ブエノスアイレス(Buenos Aires)から南西へ約350キロの街オラバリア(Olavarria)の地元紙の取材で語った。