【8月16日 AFP】中国・天津(Tianjin)で12日深夜に起きた大規模な爆発事故で、死者が104人に達したと、国営新華社(Xinhua)通信が15日伝えた。危険物質が保管されていた現場の倉庫では、断続的に爆発が続いて黒煙が上がっており、有毒のシアン化ナトリウム流出の懸念から周囲3キロ圏内の住民に避難が命じられたという。

 現地の救助本部によると、これまでに722人が病院に搬送され、うち58人が重体か重傷という。死者104人の中には消防隊員21人も含まれている。

 中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は爆発から3日後の15日に声明を発表し、今回の事故から「極めて重要な」教訓を学ぶよう安全管理当局などに警告した。

 中国当局は現場付近で危険なレベルの有毒物質流出はないと主張する一方、、現場から3キロ圏内の住民全てを退去させた。新華社によれば、住民らは「化学物質による大気汚染を懸念して」避難したという。新京報(Beijing News)は、事故現場でシアン化ナトリウムが検出された後、武装警官の誘導で住民が避難していると報じた。

■放水で爆発との見方も

 現場にあった化学物質の特定は難航しており、地元安全当局は記者会見で、爆発当時に現場倉庫にあった可能性のある化学物質を複数挙げた。

 一方、爆発の原因が、当初の倉庫火災に対応した消防隊員が、水と爆発的に反応する化学物質に放水したことによるものではないかとの指摘も出ている。

 天津市消防局の責任者は、新華社に対し、消防隊員は正しい手順に沿って消火作業に当たったと主張。「われわれは現場に炭化カルシウムがあることは知っていたが、炭化カルシウムが爆発し燃えだしたかどうかは分からない」と述べた。この責任者によると、倉庫の保管品リストには硝酸アンモニウムと硝酸カリウムも記載されていたという。(c)AFP