【8月16日 AFP】フィリピンのアルバート・デルロサリオ(Albert del Rosario)外相は15日、声明を発表し、かつての敵である日本との間で、強固な友好関係が再び構築されたと述べた。一方で中国や韓国などの近隣諸国は、安倍晋三(Shinzo Abe)首相が前日に発表した戦後70年談話は、過去の日本の行為を適切に謝罪していないとして、批判の声を上げている。

 デルロサリオ外相は声明で、日本は戦後、「思いやりを持って行動してきた」それにより、「さまざまな分野での信頼と尽きることのない支援によって特徴付けられる」関係につながったとし、さらに、「この70年の歴史は世界に対し、絶え間ない努力により、両国の国民が過去の問題を克服し強固な友好関係を築くことで、卓越した成果を収めることができることを示している」と述べた。

 日本は現在、フィリピンにとって最大の開発援助国であり、加えて両国はそれぞれ、中国との領有権をめぐる問題を抱えていることから、防衛面での協力を強化している。

 一方、デルロサリオ外相が示した見解は、中国や戦時中の日本の行動により被害を受けたアジア諸国の人々とは全く対照的となった。

 中国政府は安倍首相の談話に対し、謝罪にはなっていないと評しており、北朝鮮は「朝鮮民族に対する許しがたいごまかし」だと一蹴した。

 また、韓国の朴槿恵(パク・クネ、Park Geun-Hye)大統領は演説で、安倍首相の談話について「物足りない部分が少なくない」と述べるとともに、日本は戦時中に「性奴隷」として慰安所で強制的に働かされたアジアの女性たちの問題を解決する必要があると強調した。

 フィリピン国内でも、安倍首相が日本人の次世代にまで謝罪を続ける宿命を背負わせてはならないとの考えを示したことに対し、元慰安婦たちの代表団体が批判の声を上げている。(c)AFP