衰退するロンドンのゲイバー 寛容さ増す社会、不動産高騰も逆風に
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【8月21日 AFP】刑務所から出たばかりで、首と拳にタトゥーをのぞかせるショーン・パーキンス(Shaun Perkins)さん(53)は、英ロンドン(London)で最も歴史あるゲイパブの一つに座りながら、戸惑った表情を見せていた。
「刑務所に閉じ込められていたら、時が止まってしまうようなものだ」と、レザージャケットとジーンズを着た彼は言う。スマートカジュアルな装いやポルカドットのドレスを着た若い異性愛者の女性グループを見ながら、「すべてが変わった。こういう場所で女性を見ることはなかったものだが」と語った。
パーキンスさんが刑務所で13年間過ごしている間に、ロンドンのゲイシーンは一変した。閉店したパブもあれば、異性愛者にもオープンになった店もある。社会が寛容さを増していく中、多くの同性愛者は一般の店にも出入りするようになった。出会い系サイトや携帯電話のアプリが広まったことから、バーやクラブには行かずオンラインで相手を探す人も増えた。
LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の権利活動家たちによれば、ロンドンのゲイ向けの店の4分の1ほどがここ数年で閉店し、代わりに高級アパートやチェーン店が急増した。その結果、ロンドンの世界有数のゲイタウンとしての地位が危ぶまれているという。
「ロンドン北部から、はるばるここにやって来た。あそこには今、何もない」と、パーキンスさんはロンドン南部のゲイバー「ロイヤル・ボクソール・タバーン(Royal Vauxhall Tavern)」で語った。このバーは英国で最も歴史あるLGBTパブとされ、1880年代から女装パフォーマンスが行われていたともいわれている。