【8月14日 AFP】欧州宇宙機関(ESA)の無人探査機「ロゼッタ(Rosetta)」は13日、周回観測中の、太陽系初期に生まれた彗星(すいせい)が太陽に接近通過した際、さまざまな科学的データの取得に成功した。このデータは、科学者らが地球上の生命の起源に関する理解を深める助けになる可能性がある。

 ロゼッタは、太陽の前を通過中に67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(Comet 67P/Churyumov-Gerasimenko)から放出された微粒子やガスを収集した。67Pは、接近する太陽の熱によって表面からガスを花火のように噴出させ、毎秒約1トンの塵(ちり)をふき出させた。

 ESAによると、67Pがグリニッジ標準時(GMT)13日午前2時(日本時間同11時)頃に1億8600万キロの距離まで太陽に最接近した際にロゼッタが収集した彗星のサンプルや画像は、今後数週間または数か月間で分析される予定だという。

 ロゼッタ彗星探査プロジェクトの科学者、ニコラ・アルトベリ(Nicola Altobelli)氏は、今回の観測成功を受けて開かれたオンライン会見で、「ロゼッタは今日、本当に素晴らしい画期的偉業を達成した」と語った。

 だが、探査プロジェクトの科学者チームによると、昨年11月に67Pの表面に送り込まれた洗濯機ほどの大きさの着陸機「フィラエ(Philae)」については、依然として通信が途絶した状態で、搭載されている機器の一部がもはや正常に機能していないという。

■67Pは「非常に活動的」

 ドイツにあるESAの地上管制センターでロゼッタを担当する技術者のシルバン・ロディオ(Sylvain Lodiot)氏は、太陽風と熱が表面に激しく吹き付ける中で67Pが「非常に活動的」になっていることを、ロゼッタのナビゲーションカメラから撮影された画像が示していると指摘した。

 ロディオ氏は、AFPの取材に「ガスと塵がそこら中から噴出している」と語った。

 6年半の周期で太陽を公転している67Pの追尾観測を続けているロゼッタは「完璧に機能している」と同氏は続けた。

 67P彗星は、氷、無機物と、科学者にとって最も重要な、有機分子でできている。この有機分子は、地球の原始海洋で生命を発生させた前駆物質と同様のものだった可能性がある。

 今回の太陽接近通過で、約46億年前の太陽系誕生時の状態を保っているこれらの微粒子が、67Pから放出されることが見込まれる。(c)AFP/Joshua MELVIN