【8月13日 AFP】欧州宇宙機関(ESA)の彗星(すいせい)着陸機「フィラエ(Philae)」は、同機が着陸を果たした彗星が13日に太陽に最接近する「近日点」を通過する際にも、高温による絶体絶命の危機に見舞われることはない見込みだ。

 昨年11月に母機の周回探査機「ロゼッタ(Rosetta)」から彗星表面に降下したフィラエは、荒っぽい着地となり、目的地からそれて着陸したが、これが逆にプラスに働いたという。

 ドイツ航空宇宙センター(German Aerospace CenterDLR)の広報担当、マヌエラ・ブラウン(Manuela Braun)氏は「これによる不都合がいくつかあった。スケジュールすべての変更を余儀なくされ、これを着陸後の最初の数日間で本当に速やかに行わなければならなかった」と話した一方、「このおかげで(フィラエの)寿命が実際にはるかに伸びているという好都合がもたらされている。当初の着陸予定地では、3月か4月までに過度の高温状態に陥っていただろう」との見方を示した。

 つまり、フィラエが昨年、67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(Comet 67P/Churyumov-Gerasimenko)への着陸に予定通り成功していたら、今頃は高温で焼かれ、活動停止に追い込まれていただろう。だが、着地時にバウンドし、彗星表面の太陽光がより遮られる一帯に傾いた状態で停止したおかげで、彗星が高温になるにつれて展開される劇的な状況を目撃できるかもしれない。

 フィラエは、最高50度の温度に耐えられるが、67Pの表面温度は、太陽通過時に約80度に達する。

 67Pはグリニッジ標準時(GMT)8月13日午前2時(日本時間同11時)頃、約1億8600万キロの距離まで太陽に最接近する「近日点」を通過した後、卵形の公転軌道をめぐる6年半の旅を新たに始めることになる。(c)AFP/Joshua MELVIN