【8月7日 AFP】小さな働き者の昆虫であるアリの全地球規模の分布を表示する世界初の「アリ地図」を、香港大学(University of Hong Kong)が6日、公開した。昆虫界の解明をさらに進めることを目的としたものだという。

 完成に4年を要したこの「アントマップス(antmaps.org)」は、カラフルに色分けされたインタラクティブなオンライン地図で、アリ1万5000種近くが生息する地理的位置が表示されている。地図を見ると、豪クイーンズランド(Queensland)州には世界最多の1400種以上の在来種が生息していることが分かる。

 アリ地図の共同創始者の一人、同大生物科学学院のブノワ・ゲナール(Benoit Guenard)氏は「(昆虫は)生物学的多様性について語る場合に、中心的に扱う必要がある主要グループの一つだ」と話す。

 また、アリは土壌養分を循環させ、種子の散布を助けるため「大半の生態系で非常に重要になる」としながら、「アリは、最も研究が進んでいる昆虫集団の一つだ」と説明した。

 沖縄科学技術大学院大学(Okinawa Institute of Sciences and Technology Graduate School)のエバン・エコノモ(Evan Economo)氏とゲナール氏の共同プロジェクトであるアントマップスでは、地域在来種のアリと外来種のアリが区別されている。

 ゲナール氏によると、アントマップスは世界各地の昆虫界の重要な記録を提供し、研究活動と野生生物の保護を支援するという。同氏は、AFPの取材に「ある地域の保護がどの程度有効になされているかという問題へのアプローチにおいて、アントマップスが助けになる」と語った。

 研究では、高い頻度で発見されるアリの新種を地図上に反映させる作業が現在も継続的に行われているという。

 中国・香港(Hong Kong)市に生息するアリに関する香港大の研究を主導しているゲナール氏は、自身の研究チームが過去1年以内に同市内で発見したと考えている新種は12種に上ると指摘。「われわれのチームは、ほぼ毎週のように新種生物を発見・記録している。われわれが取り組む研究に関して、全く驚くべきことと私が感じているのは、まさにこのことだ」と述べた。(c)AFP