ブリュッセルの小便小僧は本物?「身体検査」で鑑定へ
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【8月6日 AFP】ベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)のシンボルで観光客にも人気の高い「小便小僧(マヌカンピス、Manneken Pis)」の銅像が、本物かどうかを鑑定するため「身体検査」を受けることになった。
現在ブリュッセル旧市街の噴水に立つ身長およそ60センチの小便小僧は、相次ぐ盗難被害の末に1960年代に設置されたレプリカで、17世紀初頭に制作された「本物」は、近くにあるブリュッセル市立博物館(Brussels Museum、通称「王の家」)に保管されている。ところが、この「本物」の銅像が、実は偽物かもしれないとの声が専門家の間で上がっている。
「マヌカンピスについて詳しく調べてみると、記録にまるで確実性がなく、現在本物とされている銅像が本物かどうか定かではないことがわかった」と、ブリュッセル自由大学(Free University of Brussels)の研究生、ジェラルディーヌ・パティニー(Geraldine Patigny)氏はAFPに語った。
小便小僧は、その昔ブリュッセルを包囲した敵軍がつけた火を少年が放尿して消し、街を救ったとの伝説にもとづく銅像を作ってほしいとブリュッセル市から依頼された彫刻家、ジェローム・デュケノワ(Jerome Du Quesnoy)が1619年に制作したとされる。
その後、銅像は何度か盗難被害に遭っており、特に1817年に元の場所に戻されたとされる盗難事件は詳細な記録が残っている。このとき返還された「本物」の銅像は、1965年に再び盗まれた後、翌66年に市内の運河の中で2つに割られた状態で発見され、盗難防止のために博物館に収蔵された。2003年には見事に修復もされている。
しかし、パティニー氏は、19世紀に返還された銅像が既にレプリカだったとみている。「記録は雑然としていて穴だらけ」で、「本物の銅像の行方をたどる痕跡は全くない」という。
研究者らは、X線分析をはじめとする検査によって銅像の真贋が判明すると期待している。銅像の素材である青銅の成分にニッケルが含まれていれば19世紀制作の偽物と考えられ、含まれていなければ本物の可能性が高いという。ただ、100%の確証を得ることは不可能な見込みだ。(c)AFP