【8月4日 AFP】家庭にある不用品を集めて製作された愛くるしい姿のヒッチハイク・ロボット「ヒッチボット(hitchBot)」が、米大陸横断中にその旅を終えた──。製作者らによると、何者かによって破壊され、道路脇に放置されてしまったのだという。

 ロボットが人間を信用できるのかどうかを見る社会実験としても期待された今回の試みだが、しゃべることもできるこのロボットが、米フィラデルフィア(Philadelphia)州で破壊・放置されたことによって、皮肉にもその答えは明白となった。

 先週末、公式ウェブサイトには「ああ、体が傷だらけになってしまった」、「良いロボットにも時には悪いことが起きてしまうのかな! ひとまず旅は終えなければならない。でも、人間に対する愛情は決して薄れないだろう。すべての友人に感謝します」とメッセージが投稿された。

 このロボットは昨年夏、数千キロに及ぶカナダ横断ヒッチハイクの旅を無傷で達成し、また欧州の一部地域での旅もかすり傷一つ負うことなく成功させている。

 しかし今回、米ボストン(Boston)の北部郊外からフィラデルフィアまでの約300マイル(約483キロ)、開始からわずか2週間で何者かによってバラバラに壊されてしまった。

 ロボットを使って実験を行っていたカナダ・トロント(Toronto)のライアソン大学(Ryerson University)の研究チームは、ウェブサイト「www.hitchBot.me」上にメッセージを掲載。「ヒッチボットを見守っていた大勢のファンが失望することは分かっている。ただ、この偉大な実験は終了していないので、ひとまず安心してもらいたい。今は『このことから何を学べるか』といった問いに重点的に取り組み、そしてロボットと人間のための未来の冒険について(さらに)探求するつもりだ」とし、また「ヒッチボットを破壊した人々を訴えたり、探し出すつもりはない」ことを明らかにした。

 ヒッチボットは、一般家庭や金物店で入手できる計1000ドル(約12万円)ほどの材料で制作され、「ヤードセール(庭先で行う不用品販売)の美学」とも呼ばれている。

 見知らぬ人々の厚意を頼りに、ヒッチハイクを続けていたこのロボット。内蔵されていたコンピューターを使って、会話や、簡単な質問に答えることができたという。(c)AFP/Stephanie GRIFFITH