ユダヤ教超正統派の男、ゲイパレード襲撃 6人重軽傷 エルサレム
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【7月31日 AFP】中東エルサレム(Jerusalem)で30日に開催されたLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の祭典「ゲイ・プライド・パレード(Gay Pride Parade)」で、ユダヤ教超正統派の男が参加者6人を刃物で刺した。うち1人は重傷だという。警察と医療関係者らが明らかにした。男は2005年にも同様の犯行を起こして10年間服役し、3週間前に出所したばかりだった。
事件はエルサレム中心部で発生。目撃者らは、ユダヤ教超正統派と分かる服装の男がナイフをかざして行進の列に飛び込んできたと証言している。
男は騒然とする中直ちに逮捕されたが、パレードの参加者らはその後も血痕が残る街路を毅然(きぜん)と歩き続けた。
警察の報道官によると逮捕された男はイシャイ・シュリセル(Yishai Shlissel)容疑者。シュリセル容疑者は2005年に開かれた同様の行事で参加者3人を負傷させて服役し、3週間前に出所したばかりだった。
現地報道によると、シュリセル容疑者はエルサレムのゲイ・プライド・パレードを「唾棄する」という内容の手記をインターネット上に掲載していたという。
イスラエルの赤十字(Red Cross)に相当する救助活動組織「マゲン・ダビド・アドム(ダビデの赤い盾、Magen David Adom)」は、負傷者の1人の女性が「極めて重傷」で、2人は中程度のけが、3人は軽傷だと伝えている。
ユダヤ教超正統派の居住区であるエルサレムのメーアー・シェアーリーム(Mea Shearim)では近年、同性愛を非難する抗議行動が行われている。同日のパレードの主催者はトラブルを避けるため、超正統派居住区を行進ルートから外していた。
イスラエルでは2009年、銃を持った男がテルアビブ(Tel Aviv)にある同性愛者の若者が集まる場所を襲撃し、2人が死亡、15人が負傷する事件が発生。同国の同性愛コミュニティーは深い悲しみに包まれた。その時の実行犯はいまだに捕まっていない。
イスラエルは同性愛者の権利という面では一般にリベラルと受け止められており、1988年には合意に基づく同性愛行為を禁止していた法律が正式に廃止された。しかしユダヤ教超正統派の信者らは、特に男性の同性愛者に対する憎悪を募らせているとされる。(c)AFP/Mike Smith