【7月29日 AFP】西アフリカの少数民族ピグミー(Pygmy)は、近縁関係にある東アフリカのピグミーとは非常に異なる形で、独自に低身長形質を進化させたとする研究結果が28日、発表された。

 英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された論文によると、この結果は、体の小型化が環境条件(この場合は赤道直下の熱帯雨林での生活)への適応だとする説の証拠となっているという。

 また、成長率などの人間の特性は「比較的短期間内に」進化する可能性があり、これによって人類が新たな環境に速やかに適応し、地球に住み着くことができたことを、今回の結果は示している。

 バンツー(Bantu)語を話す共通祖先から約6万年前に派生したピグミーの身体発育が、他の人類種族とどのように異なっているかについて、科学者らは長年、研究してきた。

 ピグミーは生まれつき低身長なのか。それとも、ある時点で成長が止まるのだろうか。

 カメルーンのバカ(Baka)ピグミー族数百人の出生から成人までの発育データに基づく今回の最新研究により、同族の成長パターンが、低身長でない人類種族とも、他のピグミー族とも異なっていることが分かった。

 バカ族の場合、新生児は標準サイズだが、生後2年間の発育が著しく遅くなった。論文によると「その後はおおよそ標準的な成長パターンがみられ、青年期には成長スパートも起きる」という。

 東アフリカのエフェ(Efe)族やスア(Sua)族の場合、出生時にすでに低身長であることが、これまでの観察で判明していた。

 成長パターンが異なるにもかかわらず、西部と東部のピグミー族は、成人時には同程度の身長になる。

 成長パターンの違いは、異なるグループが類似した特徴を個別に獲得する「収束進化」のプロセスを示唆していると研究チームは指摘している。

 論文共同執筆者のフランス国立科学研究センター(National Centre for Scientific ResearchCNRS)のフェルナンド・ロッツィ(Fernando Rozzi)氏は、AFPの取材に「これは(約2万年前に)ピグミーが東アフリカと西アフリカに分離した後に起きた」と語った。