ベールに包まれたトルクメニスタンのシルクロード遺産
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【7月28日 Relaxnews】トルクメニスタンの世界遺産クフナ・ウルゲンチ(Konye-Urgench)のミナレット(モスクの尖塔)や霊廟は、砂漠の空に印象的にそびえ立つ。しかし、かつてイスラム世界の中心として栄えたこの場所を訪れる外国人観光客はほとんどいない。
隣国ウズベキスタンのサマルカンド(Samarkand)やブハラ(Bukhara)など他のシルクロード都市と同様、クフナ・ウルゲンチの歴史的遺産は、秘密主義の共産主義国家だった旧ソビエト連邦の向こう側で長年、ベールに包まれていた。
トルクメニスタンは1991年に旧ソ連から独立した中央アジア諸国5か国の一つで、人口は500万人。風変わりな指導者と膨大なガス埋蔵量、秘密主義などが特に知られている。輸出の9割はガスや石油などの天然資源となっているが、世界的な原油安により、観光など他の収入源を模索中だ。
同国公認ツアーガイドのアーマン・アマノフ(Aman Amanov)氏によると、2005年に国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)に登録されたクフナ・ウルゲンチには年間20万人が訪れるが、うち外国人観光客はわずか3000人。政府の数字によれば、1年間にトルクメニスタンを訪れる観光客の4分の1~5分の1程度しか、クフナ・ウルゲンチへ足を向けていない。
白い大理石の街並みが美しい首都アシガバート(Ashgabat)の北方480キロに位置するクフナ・ウルゲンチは、強大なセルジューク帝国(Seljuk Empire)の影から出現し、12世紀に中央アジアの大部分を支配した中世イスラム王朝(ホラズム朝、Khorezm Kingdom)の権力の中枢だった。1221年にモンゴル帝国の初代皇帝チンギスハン(Genghis Khan)の軍によって壊滅させられた後も、中国やインドから欧州の市場へ富を運ぶシルクロードの交易ルート上、最も重要な経済的中心地の一つとして栄えた。
トルクメニスタンへの旅行者に最も一般的に発行されるビザは5日間の通過査証で、より長期の滞在には政府公認のツアーと、アマノフ氏のように「台本」に忠実で政治問題に触れないガイドを必要する。(c)Relaxnews/AFPBB News