【7月23日 AFP】従来よりでんぷんを多く含むコメを収穫できる上、栽培過程で放出されるメタンの量が少ないイネ品種の開発に成功したとの研究結果が22日、発表された。より多くの人々の食糧を賄い、地球温暖化を抑制するという2つの目標の達成に向けた一歩となる成果だという。

 数十億の人々の主食であるコメの生産は、強力な気候変動ガスであるメタンの重大な人為的発生源でもある。水田から放出されるメタンの量は、年間2500万~1億トンに上る。

 温室効果ガス全体に占めるメタンの割合は約16%で、二酸化炭素(CO2)に次ぐ2番目。CO2に比べると大気中での寿命は短いが、地表から発せられる熱をはるかに多く捉える。

 スウェーデン農業科学大学(Swedish University of Agricultural Sciences)のチュワンシン・スン(Chuanxin Sun)氏率いる中国、米国、スウェーデンの国際研究チームが英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した論文によると、増大する人口を賄うために稲作が拡大する中で、これは地球に対する高いリスクになっているという。

 研究チームは、「コメの生産量を増やすと同時に、水田からのメタン放出量を削減するための持続可能な技術の確立が急務となっている」と論文に記している。

 2002年にはすでに、イネに実るコメの粒を大きくするほど、イネから放出されるメタンの量が減少することが科学者らによって報告されている。

 イネの葉や茎から吸収されるCO2は、光合成によって糖類に変えられる。この糖類は、芽、根、種子などででんぷんを作るのに用いられる。枯れた植物から放出される炭素や、根を経由して土壌中に直接放出される炭素は、微生物によってメタンに変換される。このメタンが、大気中に流出する可能性がある。

 コメの粒が大きくなり、含有するでんぷん量も多くなることは、土壌に運ばれ、メタンに変換される炭素の量が減少することを意味する。