【7月20日 AFP】南アフリカで開催されていたサーフィン大会の決勝戦でサメに襲われた豪サーフィン王者、ミック・ファニング(Mick Fanning)さん(34)の母親が、生中継で息子が巨大なサメに襲われるのを見た恐怖を語った。母親のエリザベス・オズボーン(Elizabeth Osborne)さんは、息子をまた1人亡くしたと思ったという。

 19日の東ケープ(Eastern Cape)州ジェフリーズベイ(Jeffreys Bay)での決勝戦では、世界チャンピオンに3度輝いたファニングさんがサーフボードの上に座っていると、後ろから黒いひれが急に近付いてきた。

 サメの突進を受け、ファニングさんはサメを撃退しようと水しぶきを上げて死闘を繰り広げた。すぐに救助ボートやジェットスキーが駆け付け、死にもの狂いで泳いでいたファニングさんは無傷で救出された。

 オーストラリアでテレビの生中継を見ていたファニングさんの母親、オズボーンさんは、オーストラリア放送協会(Australian Broadcasting CorporationABC)の取材に応じ、17年近く前に自動車事故で亡くなった息子のショーンさんが見守ってくれていたのだと涙ながらに語った。

「家族の身に起きるのを見ていられないほど最悪な出来事。私の目の前で起きたんですから」とオズボーンさんは言った。「ショーンが自動車事故に遭った瞬間は目撃していなかったけど、今回は、目の前で起きるのを見ていた。本当に恐ろしかった」

 オズボーンさんは、サメのひれが息子の背後の水面に現れ、息子が命懸けで逃げるのを見ていたときの苦しみを語った。

「ぞっとしました。あの波が押し寄せたとき、息子はいなくなったと思った」

「私は家族にいつも言ってるんです。決してあきらめないで、降参しないでって。息子はあきらめませんでした」とオズボーンさんは付け加えた。

「息子は立派なファイター。息子が脚をなくさずに済んだのは本当にありがたいし、息子を誇りに思う。宇宙に感謝します」(c)AFP