【7月17日 AFP】中国の警察当局は、空中から蛇を出してみせたり病人を治したりできる「気功大師」として著名な男を、実業家の誘拐・殺害容疑で拘束した。国営新華社(Xinhua)通信などが17日、報じた。

 報道によると、気功を通じて富と名声を築き政治家にも信奉者が多い王林(Wang Lin)容疑者は、実業家の鄒勇(Zou Yong)氏が先週誘拐され殺害された事件に関与した疑いで、16日に身柄を拘束された。

 王容疑者は2年前、神業的なパフォーマンスを行う様子がインターネット上に投稿されたことがきっかけで、一躍有名になった。アクション俳優のジェット・リー(Jet Li)氏や劉志軍(Liu Zhijun)元鉄道相ら、数々の著名人と一緒に撮影した写真も公開されている。また、中国の電子商取引大手アリババ(阿里巴巴、Alibaba)の創業者で大富豪のジャック・マー(Jack Ma)氏が王容疑者の元を訪ねたとも報じられた。

 一方で、燃やした紙幣をミカンの中から無傷で取り出すなど同容疑者が披露した超自然的な能力を疑問視した記者に対し、「おまえは非業の死をとげるだろう」などと脅したこともある。

 報道によれば、殺害された鄒氏は王容疑者と同じ江西(Jiangxi)省の出身で、容疑者の「弟子」だったという。

 環球時報(Global Times)が伝えたところによると、鄒氏はかつて太極拳を習った見返りとして王容疑者に500万元(約1億円)や数台のスポーツカー、金塊20キロなどを贈ったと話していた。しかし、王容疑者が絶えず金銭の無心をしてくるため鄒氏は反発し、2012年にたもとを分かったという。

 鄒氏殺害事件では、14日にも男2人が拘束されている。新京報(Beijing News)は匿名情報として、鄒氏の遺体は切り刻まれて湖に投げ込まれていたと報じている。(c)AFP