【7月16日 AFP】現在開催中の2015ツール・ド・フランス(2015 Tour de France)で、総合首位に立つスカイ(Sky Pro Cycling)のクリス・フルーム(Chris Froome、英国)は、自転車競技から永久追放処分を受けているランス・アームストロング(Lance Armstrong)氏が、慈善活動のイベントで16日からコースを走ることについて冷淡な態度を示している。

 アームストロング氏は、ツールに参戦する競技者に先立ち、16日にミュレ(Muret)からロデーズ(Rodez)、17日にロデーズからマンド(Mende)の2ステージを走る予定となっている。

 各ステージの前日にコースを走ることになるものの、アームストロング氏がツールの舞台で公式に姿をみせるのは、1999年から2005年までに獲得した7つのタイトルすべてをはく奪されて以降、今回が初めてとなる。

 一方、30歳のフルームは、アームストロング氏が一連のドーピング違反を告白したことで、素晴らしいパフォーマンスをみせる度に疑いの目を向けられており、同氏について質問が及ぶと、「彼がツールに戻ってくる必要性があるとはまったく思わないし、僕らと一緒にスタートラインに立つわけじゃない」と冷ややかに答えた。

「注目すべきは、彼が協力しているジェフ・トーマス(Geoff Thomas)氏が発起人の血液がん基金についてだ。それは支援するし、関心を寄せている」

「ジェフ・トーマス氏に、たくさんの基金が集まることを願っているよ」

「先ほども話した通り、ランスが僕らと一緒にレースするわけではない。彼に会う予定はないし、このイベントと僕らは関係ない」

 フルームもまた、数年前に母親を血液のがんで亡くしており、がん基金を支援している。 

 サッカー元イングランド代表のトーマス氏は、白血病を克服した経験を持ち、10人のアマチュアライダーと一緒にコースを周り、主にスポンサーから100万ポンド(約1億9000万円)を集めることを目標としている。

 ジェフ・トーマス財団(Geoff Thomas Foundation)はAFPに対し、14日の時点で合計金額は84万ユーロ(約1億3300万円)に達したと明かしている。

 2013年にテレビ番組でドーピングの事実を認める衝撃的な告白をしたアームストロング氏が、今回のイベントに参加することについては以前から物議を醸しており、国際自転車競技連合(UCI)も、アームストロング氏はフランスで「期待するような歓迎は受けないだろう」と警告していた。

 UCIのブライアン・クックソン(Brian Cookson)会長は4月、ロシアのソチ(Sochi)でAFPの取材に応じ、「すでに大勢がコースを走っていることになるので、ランス・アームストロング氏が歓迎されるかは分からない。彼は、そのことを念頭に置いておく必要がある」と述べている。

 クックソン会長はまた、アームストロング氏に対してイベント出走を断念するように促している。

「好ましいことではないし、非礼に値する。基金の額を増やすためにランスができることは、ほかにもたくさんあるはずだ」

 一方、アームストロング氏本人はツール・ド・フランス復帰を心配する声について、少なくとも非公式には一蹴している。

 アームストロング氏は先月、AFPを含めた一部の報道陣に対して、「私はフランスやその国民と苦い関係にあると思われている。だけど、私は行きたいし、フランスを愛している」と語っている。

 アームストロング氏はまた、クックソン会長の発言について、「私はブライアン・クックソン氏を知らない。会ったことも話したこともなく、このスポーツに対する彼の展望すらも知らない」と反論した。

「分かっているのは、私とジェフ(・トーマス)が慈善活動のためにフランスを走ることについて、彼には関心がないということだ」

(c)AFP/Julian Carrere