【7月14日 AFP】1990年代のオーストラリアを震撼させたバックパッカー連続殺人事件の犠牲者7人の遺体が埋められた森を訪れようという「究極の恐怖ツアー」が、遺族に対して無神経な「身の毛のよだつ」ツアーだといった非難を浴びている。

 批判の的となっているのは、現地旅行会社ゴールバーン・ゴースト・ツアーズ(Goulburn Ghost Tours)。複数の終身刑判決を受け現在服役しているイワン・ミラット(Ivan Milat)受刑者が20年以上前、殺害したオーストラリア人2人、英国人2人、ドイツ人3人の計7人の若いバックパッカーの遺体を埋めた、シドニーの南西約120キロにあるベラングロ州立森林公園(Belanglo State Forest)を夜間訪れるツアーの広告を出した。

 同社はウェブサイトで「ご要望に応えお届けします。ゴールバーン・ゴースト・ツアーズ究極の恐怖ツアーの登場です」「イワン・ミラットが犠牲者たちを埋めたベラングロに行こう!ベラングロ州立森林公園へ入ったあなたは、もう二度と出てこられないかもしれない…」と宣伝している。

 ニューサウスウェールズ(New South Wales)州のマイク・ベアード(Mike Baird)州首相は、このツアーの存在を知りショックを受けたと表明。ツアーを「非常識もはなはだしい」と非難し、「悪趣味ではすまない。身の毛がよだつものだ」と語った。さらに、同社はベラングロ州立森林公園での営業活動に許可が必要だと指摘した上で、仮に申請があったとしても却下されるだろうと述べた。

 AFPは同社の取材をすることはできなかったが、同社のルイーズ・エドワード(Louise Edwards)社長は現地紙シドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)に対し「わが社では今回の企画に至るまでに相当の時間をかけ検討し、配慮に欠けたものにならないよう努めた。誰かを不快にさせるつもりはない」とコメントした。(c)AFP