【7月10日 AFP】ジャイアントパンダが動物界のカウチポテト族に仲間入り――。このような研究結果が9日、米科学誌「サイエンス(Science)」発表された。パンダの活動の不活発さは、動きの鈍いナマケモノに匹敵することが分かったという。

 中国の研究チームは、飼育されているパンダ5頭と野生パンダ3頭を追跡調査した。その結果、パンダの活動性は他のクマに比べて著しく低く、1日のエネルギー消費量は、体の大きさが同程度の他の陸生動物の平均値のわずか38%であることを発見した。「ジャイアントパンダの1日のエネルギー消費量は、コアラなどに比べて大幅に少なく、ミツユビナマケモノのエネルギー消費量にほぼ等しい」と論文は述べている。

 また、パンダの脳、肝臓、腎臓は、他のクマにみられるそれらの臓器より小型であることも判明した。

 さらに、パンダの甲状腺ホルモン血中濃度は哺乳類の標準値の数分の1しかないことも分かった。これは、冬眠中のアメリカグマのホルモン濃度に相当する値だという。今回の研究では、人間の甲状腺機能低下症患者にみられるものと同じ遺伝子変異がパンダで発見された。体重やエネルギーの調整に重要な役割を果たす甲状腺ホルモンは、血中濃度が低下すると倦怠(けんたい)感を引き起こす可能性がある。

 パンダの消化器官は、常食のタケに対して十分に適合していないことが、これまでの研究で明らかになっている。

 だが総合的に考えると、ジャイアントパンダの小型の臓器、遺伝的適応、のんびりした動作は、パンダがタケ食で生き延びることを可能にしていると論文は結論付けている。

 パンダの自然生息地は、中国南西部の山岳地帯にある。中国には、野生のパンダが約1600頭生息しており、他に300頭が飼育されている。(c)AFP