世界の貧困層減少も格差縮まらず、2001~11年 米研究
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【7月9日 AFP】今世紀最初の十年間で、世界の約7億人が極貧状態から抜け出したとの研究結果が8日、発表された。しかし、その大半は依然として非常に低い所得水準にあることも明らかになっている。
米調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)の発表によると、世界の貧困は2001~2011年の間に「歴史的な減少」を遂げ、また「中間所得層」と考えられる人の数も倍増したという。
2011年には、貧困ラインを下回る1日2ドル(約240円)未満で生活する人の割合が世界全体の15%となった。2001年の時点では、同29%だった。
ただ、極貧生活を脱却した人たちの大半は、いわゆる「低所得層」に位置づけられ、1日2~10ドル(約240~1200円)での生活を強いられている。世界人口の約56%は、依然としてこうした水準にあり、2001年の50%に比べて増加した。
また、1日の生活費が10~50ドル(約1200~6000円)の中間所得層と上位中間所得層の割合は、14%~22%に上昇しただけで、全世界に安定した中間所得層を構築する努力が鈍化していることも同時に示唆された。
貧困層から中間所得層への移行が最も顕著だったのは、中国や南米および東欧地域だった。一方、インドや東南アジア、中米地域では微増にとどまった。
研究では「経済的に発展した国と新興国、発展途上国との間にある生活水準の『差』が、今世紀初めの10年間であまり縮まっていない」ことも指摘された。(c)AFP