二階堂ふみが妖艶に演じる室生犀星原作『蜜のあわれ』来年公開へ
このニュースをシェア
【7月8日 MODE PRESS WATCH】金沢三文豪の一人である室生犀星が、晩年の1959年に発表した小説「蜜のあわれ」が2016年、二階堂ふみと大杉蓮主演で映画化される。
大正期の詩壇を牽引、昭和期には「幼年時代」「あにいもうと」「杏っ子」などの名作小説を発表しつつも、随筆、童話、俳句と多岐の ジャンルに渡って作品を発表した室生犀星の作品を今回映画化するのは、『狂い咲サンダーロード』『爆裂都市 Burst City』『逆噴射家族』など ジャンルを超越した強烈な世界観で熱狂的な支持を受け、『生きてるものはいないのか』『シャニダールの花』、『ソレダケ/that's it』と精力的に作品を創りつづけている石井岳龍監督だ。撮影には石井監督と数々の作品を共にし、近年では『悪人』『大鹿村騒動記』『許されざる者』などを担当する日本を代表する名カメラマンの笠松則通が担当する。本作で20年ぶりにタッグを組むことになる。室生犀星の地元である富山県・金沢市を中心にロケが行われ、二階堂ふみと大杉漣のほかにも、実力派俳優たちが集結。原作小説に流れる耽美な世界観が見事に表現された。
自分のことを「あたい」と呼び、まあるいお尻と愛嬌のある顔が愛くるしい赤子(演:二階堂ふみ)は、共に暮らす老作家(演: 大杉漣)を「おじさま」と呼んで、とめどないおしゃべりをして毎日を過ごしている。かなりきわどいエロチックな会話を繰り返し、夜は身体をぴったりとくっ付けて一緒に寝たりもする。しかし、どこか普通の女とは何かが違う、そんな赤子は、ある時は女(ひと)、ある時は尾鰭をひらひらさせる真っ赤な金魚なのだ。普通の人間には彼女の正体がわからず、野良猫には正体がバレてしまう。そんな赤子と老作家が静かに暮らしている中、少々怪しげな老作家の“過去の女”が現れ物語は展開していく。
「本格文芸ドラマにファンタジー、エロス、ミュージカル要素なども盛り込まれ、それが目を見張る映像と美術世界の中に描かれます。見どころ満載の、おかしくて切なくて愛しい至福の作品になると思います」と本作で監督を務めた石井岳龍氏は語った。(c)MODE PRESS