【7月5日 AFP】米軍とオーストラリア軍が2年に1度行っている大規模な合同軍事演習「タリスマン・セーバー(Talisman Sabre)」が5日、領有権をめぐる中国と緊張が高まる中、21日までの日程で始まった。今回は陸上自衛隊(Japan Ground Self-Defense ForceJGSDF)も初めて参加する。

 豪北部特別地域(Northern Territory、準州)とクイーンズランド(Queensland)州で2週間余りにわたって行われる同演習は、米豪両軍の兵士約3万人が参加する陸海空での実戦演習。今回は日本から陸上自衛隊の約40人が初参加し、米軍部隊に合流する他、ニュージーランド軍の500人以上も参加する。

 中国が周辺地域で戦略的・経済的な力を誇示する中で行われる同演習は今回で6回目となる。

 豪シドニー大学(University of Sydney)の中国専門家、ジョン・リー(John Lee)氏は「米国の主要な同盟国と米国は、主として中国を相手にするために、兵器から技術的・戦略的な専門性や協力に至るまであらゆるレベルで緊密に連携しているというメッセージを暗に発信している」とAFPに語った。

 オーストラリアは近年、日本との関係を強化している。豪政府は現在、日本の「そうりゅう(Soryu)」型潜水艦の購入を検討しているが、リー氏によればこの潜水艦は米国の兵器システムと完全に統合されるという。

 オーストラリア戦略政策研究所(Australian Strategic Policy Institute)の防衛力担当上級アナリスト、アンドリュー・デービス(Andrew Davies)氏はAFPに対し、今回の陸自の参加について「日豪の安全保障関係の深化は継続的なものだ。10年以上前から進展してきたもので、ここへ来て日豪はそのペースを速め、軍事分野で協力する機会をうかがっている」と述べた。

 また陸自の初参加について、豪ディーキン大(Deakin University)の安全保障専門家クレイグ・スナイダー(Craig Snyder)氏は、安倍晋三(Shinzo Abe)首相の政権がアジア地域の安全保障への関与を強めたがっている日本の内政事情も背景の一つにあると語った。(c)AFP/Glenda KWEK