【6月26日 AFP】自転車ロードレーサーのクリス・フルーム(Chris Froome、英国)は25日、今年のはじめに自らの過失で薬物検査を受けられなかったことを告白した。

 30歳のフルームは、妻のミシェル(Michelle)さんとイタリアで休暇を過ごしていた際に、滞在していたホテルのスタッフが反ドーピング機関の職員を夫妻に取り次がなかったため、検査を逃してしまったと明かしている。

 フルームは、総合優勝を果たした2013年のツール・ド・フランス(2013 Tour de France)で、「3週間で30回以上」検査されたと漏らしていた。

 アスリートは年間を通じて毎日、検査に対応できる時間帯(1時間)を報告する義務があり、12か月で逃した回数が3度に及んだ場合は制裁が科されることになっている。

 今回のフルームの告白は、陸上男子5000メートルと1万メートルの王者モハメド・ファラー(Mohammed Farah、英国)が、2012年ロンドン五輪の前に薬物検査を2度にわたり受けなかったことが物議を醸しているさなかに行われた。

 これらの問題では、英国放送協会(BBC)のドキュメンタリーで、ファラーのコーチを務めるアルベルト・サラザール(Alberto Salazar)氏が、米国人選手のゲーレン・ラップ(Galen Rupp)に対してドーピングの方法を指南したと報じられたばかりだった。

 番組ではファラーの不正行為を示す内容はなく、サラザール氏も自身に対する一連の疑惑を否定している。 

 フルームは拠点を置くモナコで電話会見に臨み、「今年のはじめに、私は2日間ほど休養を取り、妻とイタリアの高級ホテルで静養していた」と語った。

「初日の朝7時に当局の職員が訪ねてきたが、ホテル側は私たちの部屋には通さず、客室への電話連絡も拒否した」

「私たちが朝食を取りに行くと、ホテルのスタッフが、『今朝、反ドーピング機関の職員が検査のために訪ねてきました。しかし、ホテルの方針は、お客様の邪魔は誰にもさせないことですから』と言われたんだ」

「私にとっては窮地に追い込まれる事態になってしまった。当局に連絡して状況を説明しようとしたが、結局のところ、この問題の責任は私にある」

「事前にホテル側には、検査が行われる可能性を伝えておくべきだった。この一件で教訓を得たよ」

「アスリートは、常に検査を受けられるようにしておく責任がある」

 世界最高峰の自転車ロードレースとされるツール・ド・フランスの2014年大会で、フルームは転倒により無念のリタイアに終わっている。

 フルームは来月に迫った2015年大会では、昨年覇者のヴィンセンツォ・ニバリ(Vincenzo Nibali、イタリア)やアルベルト・コンタドール(Alberto Contador、スペイン)、ナイロ・キンタナ(Nairo Quintana、コロンビア)とともに、「壮大なバトル」を繰り広げると予告している。

 フルームは、「今回のツール・ド・フランスは、近年まれにみる壮絶な戦いになるだろう」と語った。

「私はライバル全員をリスペクトしているが、現時点では誰にも恐れを抱いていない」

(c)AFP