【6月24日 AFP】シリア当局は23日、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が、同国中部の古代都市パルミラ(Palmyra)近郊にあるイスラム教の霊廟2つを破壊したと発表した。ISもまた、霊廟を破壊したとする写真を公開している。

 シリア遺跡管理当局幹部は、ISが3日前、イスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)のいとこの子孫モハメド・ビン・アリ(Mohammed bin Ali)と、パルミラの宗教指導者ニザール・アブ・バハエディン(Nizar Abu Bahaaeddine)の墓2つを爆破したと語った。

 ビン・アリの墓はパルミラの北4キロの山岳地帯に位置する。ISが公開した写真には、2人の武装した男が爆破物を大量に詰めたとみられる金属容器を手にして岩山を登り、霊廟に近づいていく場面も写されている。一方のアブ・バハエディンの墓は、パルミラの古代遺跡から約500メートル離れたオアシスにあり、500年以上前に建造されたとされる。

 同幹部によれば、ISはこれまで、シリア北部と東部の支配地域で100~200年前に建てられた少なくとも50の霊廟を破壊。ISはこうしたイスラム教の霊廟を自分たちの教義に反するものとみなし、人々の立ち入りを禁じているという。

 同幹部はさらに、ISが10日前、パルミラ住民の墓地で多数の墓石も破壊したことをAFPの取材に対して明らかにした。ISは、墓は目に見える状態であるべきではないと考えており、「大理石で作られた墓はすべて破壊された」という。

 国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)に登録されている遺跡があるパルミラからシリア政府軍が撤退し、ISがこの町を完全制圧したのは5月21日。先週末にはISがパルミラの遺跡に地雷を敷設したことから、ISがイラクの遺跡を破壊したのと同じく、パルミラの遺跡を破壊する恐れが高まっている。(c)AFP