【6月23日 AFP】基本的な肺機能検査で問題なしと判定されたとしても、喫煙者もしくは過去に喫煙経験のある人の半数以上は、未診断の肺疾患に罹患している可能性があるとの研究結果が22日、発表された。

 米国医師会雑誌(内科学)「Journal of the American Medical Association Internal Medicine」に発表された今回の研究は、1日に1箱以上の喫煙を10年間続けていた45~80歳の9000人近くを対象に行われた。

 論文によると、研究対象者の約半数は「肺機能検査結果に基づき、病気はないとみなされていた」という。

 だが、呼吸器症状、CTスキャン結果、投薬使用、生活の質に関する問題などを含む他の判定基準を調査した結果、「『病気のない』研究対象者の55%に何らかの呼吸器機能障害があった」ことを研究チームは発見した。

 その多くは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の初期段階だった。COPDは、米国の死因の第3位となっている。また、全体の42%に肺気腫や気道壁の肥厚が認められたほか、23%に重度の息切れがあった。

 論文主執筆者の全米ユダヤ医療研究センター(National Jewish Health)のエリザベス・レーガン(Elizabeth Regan)助教(内科学)は「肺機能検査が『正常』の喫煙者には、重大な呼吸器系疾患がみられる場合が多い。こうした喫煙者の多くは、初期段階のCOPDを罹患している可能性が高い」と指摘。「今回の成果により、健康な喫煙者の俗説の正体が暴かれるとともに、肺疾患や喫煙による長期的な他の影響を予防するための、喫煙の防止や停止の重要性が浮き彫りになることを期待している」と付け加えた。

 米疾病対策センター(US Centers for Disease Control and PreventionCDC)によると、米国の喫煙者数は約4200万人に上るという。CDCは、同国内の予防可能な疾患と死亡の原因の第1位に喫煙を挙げている。(c)AFP