【6月17日 AFP】巨大な草食恐竜が地球上に登場して以来3000万年ほどの間、熱帯に生息できなかったのは、予測不可能な上に、焼けつくような暑さと乾燥した気候が原因だったとする研究が15日、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に掲載された。

 赤道の南北さまざまな緯度にさまざまな種類の恐竜が生息していたにもかかわらず、なぜ草食恐竜たちは熱帯に生息することを避けたようにみえるのか、という問題は長い間謎のままだった。熱帯に残された化石は肉食恐竜のものだ。

 地球化学者のジェシカ・ホワイトサイド(Jessica Whiteside)氏率いる国際チームは、米ニューメキシコ(New Mexico)州北部で、三畳紀後期に当たる2億1500万年~2億500万前に形成された岩石層を調査し、当時の気候を再現することに成功した。

 熱帯の気候は変化が激しかったものの概して植物が生育するには暑すぎたため、草食動物は繁栄することができなかったという。二酸化炭素濃度が高い大気は、湿度の高い時期と、気温約600度におよぶ長い干ばつの時期をもたらした。

 論文の共著者、ユタ大学(University of Utah)のランダル・アーミス(Randall Irmis)氏は声明で、「われわれのデータは、そこが愉快な場所ではなかったことを示唆している」と指摘。「当時の気候は極端から極端へと予測不可能に揺れ動く時代だった。巨大な恒温動物である草食恐竜たちは赤道付近では生息できなかった。当てにできる十分な量の餌となる植物が存在しなかったからだ」と説明する。

 今回の研究を支援した全米科学財団(National Science Foundation)の地球科学部門でプログラムディレクターを務めるリッチ・レーン(Rich Lane)氏は「研究者らは、三畳紀後期の赤道地帯に恐竜たちがほぼ存在しなかったという厄介な問題に対する新たな説明を進展させた。気候が乾燥と湿潤の間を変動することで起きる急激な植生の変化や、気候変動の結果発生する火事が広大な領域に広がったのも、(生息しなかった)理由の一つだ」と述べた。

 またこの時代は、大気中の二酸化炭素濃度が現在の4~6倍に達していたとされており、アーミス氏は「もし人類がこのまま進み続けると、二酸化炭素濃度が上昇した世界で同じような状態が生じる可能性もあり、低緯度地域の生態系が圧迫される」と指摘している。(c)AFP