気候変動で世界気温4.3度の急上昇も、IEAが警鐘
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【6月16日 AFP】国際エネルギー機関(International Energy Agency、IEA)は15日、世界の気温が今世紀末までに最大4.3度の急激な上昇を示す恐れがあると警鐘を鳴らし、各国が公約として掲げる温室効果ガス削減目標を強化するよう呼び掛けた。
今年フランス・パリ(Paris)で開かれる国連気候変動枠組み条約(UN Framework Convention on Climate Change、UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)に先立ち発表された報告書で、IEAは世界平均気温の上昇幅を2度未満に抑える目標を達成するには、さらに多くのことを実行すべきと指摘している。
英ロンドン(London)で発表された報告書では、現在の削減公約が「将来のエネルギー動向にプラスの影響を及ぼすが、気温上昇2度未満とした目標の達成に不可欠となる大幅な軌道修正に至るものではない」とされた。
報告書の試算によると、2100年までの平均気温上昇幅は全世界で2.6度前後、北半球では4.3度にまで達する可能性があるという。
IEAのマリア・ファンデルフーフェン(Maria van der Hoeven)事務局長は「排出量削減の取り組みを成功に導くには、エネルギー部門が決定的な役割を担わなければならない。エネルギーの生産と使用は、世界の温暖化ガス排出量の3分の2を占めている」と語っている。
IEAの主席エコノミスト、ファティ・ビロル(Fatih Birol)氏によると、温暖化により異常気象事象の「発生頻度がはるかに高く」なり、特にこの問題への関与が圧倒的に少ないアフリカで、大きな影響が生じる可能性があるという。
ファンデルフーフェン事務局長は、「温暖化ガス排出量軽減へのコストおよびその難しさは年々増加する」ことを指摘し、時間が最も重要な要素であると述べた。そして「今こそ行動すべき時との各国間の共通認識は高まる」一方で、公約の妥当性を確保しつつ、公約が確実に守られるようにするためには強い警戒が必要と続けた。
IEAは、世界のエネルギー関連排出量の2020年のピークおよび以降の減少継続に向けて、5つの対策を提言している。
IEAが提唱するのは、主要産業部門のエネルギー効率の向上、非効率的な石炭火力発電所の使用削減、再生可能エネルギー技術への投資増加、化石燃料助成金の段階的廃止、石油と天然ガスの生産におけるメタン排出量の削減だ。
IEAは「気候に関するこの重大な節目は、検証済みの技術と方策のみを用いて、地域の経済と開発の見通しを変更することなく到達可能だ」とコメントしている。(c)AFP