謎に包まれた「ビルダーバーグ会議」開幕、世界の要人が秘密協議
このニュースをシェア
【6月12日 AFP】オーストリア・テルフスブーヘン(Telfs-Buchen)で11日から、武装した警察官や軍用ヘリによる厳重な警護の下、世界的な影響力を持つ政治家や財界人、高名な学者など約140人が参加する会議が開かれている。先進7か国(G7)首脳会議(サミット)でも、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)でもない。参加者が一部の有力者に限られた、完全非公開のビルダーバーグ(Bilderberg)会議だ。
11日から4日間の日程で開かれている第63回ビルダーバーグ会議の参加者はそうそうたる顔ぶれだ。政界、金融界、実業界の大物のほか、ヘンリー・キッシンジャー(Henry Kissinger)元米国務長官、イエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)北大西洋条約機構(NATO)事務総長、米グーグル(Google)のエリック・シュミット(Eric Schmidt)会長、アイルランドの格安航空会社ライアンエア(Ryanair)のマイケル・オレアリー( Michael O'Leary)最高経営責任者(CEO)など。
G7首脳会議とは異なりビルダーバーグ会議では報道機関による取材が認められていないことから、秘密主義に対する批判や、怪しげなたくらみが行われているのではないかとの疑念がある。だが主催者側は、詮索好きなマスコミがいないおかげで、激論を巻き起こすような際どい問題についても自由に討議することができると主張する。
ビルダーバーグ会議の公式サイトによれば、「欧州と北米の対話促進」を目的に1954年に始まったこの会議は、「参加者は会議で得た情報を自由に使用することができるが、その情報の発言者、およびその他の参加者の身元や所属は明らかにしてはいけない」という、いわゆる「チャタムハウス・ルール(Chatham House Rule)」の下で行われている。
公式サイトは「非公式会議のため、参加者は所属団体の慣習や事前に合意されていた論点による制約を受けない。したがって、時間をかけて、他の参加者の話に耳を傾け、熟考し、見識を高めることができる」
会議の終わりに記者会見や声明発表を期待すれば失望することになる。公式サイトでは、「詳細な議題は用意せず、決議の採択もない。採決は行わず、声明発表もない」との説明がある。
今年の会議の議題は人工知能、サイバー・セキュリティー、化学兵器のほか、ギリシャ、イラン、中東、NATO、ロシア、英国、その他、「脅威」とされるものだという。G7首脳会議では今年末に仏パリ(Paris)で開催される国連(UN)気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向けて気候変動が重要な議題となったが、ビルダーバーグ会議の議題にこの問題は含まれておらず、世界の飢餓や富の不均衡への具体的な言及もない。ビルダーバーグ会議の参加者は男性が大半を占める。(c)AFP/Simon STURDEE