【6月11日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は10日、インド北部ウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州で、地元政治家が土地横領や汚職に関与していたと非難した男性ジャーナリストが火を付けられて殺害された事件について、調査を行うよう州当局に求めた。

 フリーランス・ジャーナリストのジャゲンドラ・シン(Jagendra Singh)氏(42)は、体に火をつけられた1週間後の8日に死亡した。この直前シン氏は、同州政府の閣僚の一人、ラム・ムルティ・シン・ベルマ(Ram Murti Singh Verma)氏の不正疑惑に関する記事を発表し、フェイスブック(Facebook)に掲載していた。

 シン氏の遺族は、ベルマ氏と複数の警察官がシン氏の自宅を突然訪ねてきて、シン氏を殴り、ガソリンをかけて火を付けたと主張している。警察は事件に関連しベルマ氏と他5人の捜査を開始したが、これまでのところ逮捕者は出ていない。

 アムネスティはウッタルプラデシュ州当局に対して、襲撃犯に裁きを受けさせるために独自調査を行うよう求めている。また、インド報道委員会(Press Council of IndiaPCI)は10日、事件は「報道の自由に対する攻撃」だとして特別調査を要請した。

 インドは、世界でも報道規制が最も厳しい国の一つで、仏パリ(Paris)に拠点を置く国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(Reporters Without BordersRSF)」が発表した「世界報道の自由度ランキング(World Press Freedom Index)」では世界180か国・地域の中で136位だった。(c)AFP