【6月21日 AFP】旧ソ連時代に成績優秀な子どもたちが夏の間、利用していたクリミア(Crimea)半島にある教育施設が再び、脚光を浴びている。ソ連崩壊後は利用されなくなり、朽ち果てていた。

 ロシアがクリミア半島をウクライナから掌握して以来、活気を取り戻しているのは、アルテック(Artek)と呼ばれる短期滞在型教育施設だ。

 アルテックは、ロシア革命の指導者ウラジーミル・レーニン(Vladimir Lenin)の提案で1925年に設立され、当初は結核の子どもたちの療養施設として利用されていたが、次第に、新しいソ連市民を育てるというイデオロギー色の強いプロジェクトを推進する施設へと変容していった。

 ソ連崩壊後、アルテックはウクライナ当局の管理下に置かれ、荒廃していたが、昨年、ロシア政府はこの地域を掌握してから、2020年までに3億6500万ルーブル(約8億3000万円)をかけて改装を進めている。

 アルテックが受け入れているのは、ロシア共産党(Russian Communist Party)の青年組織「ヤング・パイオニア(Young Pioneers)」や「コムソモール(Komsomol)」に所属している10~17歳の子どもだけだ。

 アルテックに来る子どもの95%は、数学やロシア文学のコンテストで1位になったり、スポーツやダンスでトップクラスの成績を収めたりして招待された優秀な子どもたちで、滞在費用は無料だ。一方、国外から訪れる場合は、3週間で約6万5000ルーブル(約15万円)支払わなければならない。この夏には2万人の青少年がアルテックに滞在することになっている。

 代表を務めているAlexei Kasprzhak氏は、AFPの取材に対して、改装の目的は、アルテックを「バレエやエルミタージュ美術館(Hermitage Museum)に並ぶロシアの国家的シンボル」にすることだとコメントした。(c)AFP/Marina LAPENKOVA