【6月8日 AFP】自転車ロードレースの元ツール・ド・フランス(2012 Tour de France)覇者ブラッドリー・ウィギンス(Bradley Wiggins、英国)が7日、英ロンドン(London)のトラックでアワーレコード(1時間の走行距離)を更新し、世界新となる54.526キロメートルを走行した。

 35歳のウィギンスは、ヴェロパーク(Lee Valley VeloPark)で1時間の走行を終えると、5月に同胞のアレックス・ドーセット(Alex Dowsett)が設定した52.937キロという記録を破り、バイクを頭上に掲げた。

 ウィギンスは、55キロの大台を突破して、簡単には破られない記録を設定したいと意気込んでいたが、専門家によれば、気圧が高かったことで、1キロ近くのロスがあった可能性もあるという。

「達成できたことが単純にうれしい」としたウィギンスは、「人生で出産の痛みに最も近い感覚を味わった。ただの拷問だ」と振り返っている。

「何度も時計を見て、時間を数えていた。ようやく終わってほっとしている。パリ~ルーベ(113rd Paris Roubaix)から長い準備になったから、チームと共にいろんなことをやってきた」

「妻と子どもは、誰よりも気圧に詳しくなったんじゃないかな!」

 気圧計の数字に影響されることなく、ウィギンスは堂々とスタートを切ると、2012年ロンドン五輪の会場にもなったトラックで、満員の客席からは熱い声援が送られた。

 1周250メートルのトラックで10周を走るころには、ウィギンスは世界記録を7秒上回るペースで走行していた。そして、中盤にはアドバンテージを73秒に伸ばし、時速54.6キロペースの走りをみせた。

 五輪の個人タイムトライアル王者であるウィギンスは、メトロノームのような正確さでそのペースを維持していたが、最後の12分で疲れが見え始める。

 52分が経過したところでペースが乱れ、明らかに失速したウィギンスだが、残り5分で200周を突破すると、観客はすでにお祝いムードだった。

 ウィギンスは、残り1分42秒の場面でドーセットが保持する世界記録212周を突破。さらに6周を走りきって、新記録を樹立した。(c)AFP/Ian Whittell