【6月7日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は6日、幹部の汚職問題に揺れる国際サッカー連盟(FIFA)に対し、信頼を回復するには、2002年のソルトレークシティー冬季五輪の招致をめぐって発覚した買収スキャンダルと、その後IOCが行った改革を参考にすべきだと語った。

 61歳のバッハ会長は、フアン・アントニオ・サマランチ(Juan Antonio Samaranch)元会長、ジャック・ロゲ(Jacques Rogge)前会長と続いてきた改革の流れを、現在引き継ぐ立場にある。幹部の汚職問題が発覚したFIFAでは、2日にジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)会長が5選からわずか数日で辞任を発表する事態に追い込まれたが、バッハ会長は、FIFAも問題の解決にきちんと取り組むべきだと話している。

 IOCは1998年、委員に対する票の買収疑惑が持ち上がり、複数人が追放処分を受ける大騒動を経験している。ソルトレークシティー五輪の組織委員会はメンバーが起訴されたものの、最終的に有罪となった者は1人もいなかった。

 1991年以来IOCの委員を務めるバッハ会長は、英テレビ局スカイニューズ(Sky News)に対し、「FIFAにとって極めて大切なのは、信頼の回復だ。私にできる唯一の助言は、全力で改革に取り組み、この深刻な訴えに全力で向き合ってほしいということだけだ」と話した。

「15年前、同様の苦境を味わったとき、われわれは二つのことをした。メンバーに対する迅速な処分を実行し、10人の委員を追放、または引退させた。そして改革に乗り出した」

 1976年のモントリオール五輪で、西ドイツ代表としてフェンシング・フルーレ団体の金メダルを獲得したバッハ会長は、「われわれは、IOCが選び抜かれたアスリートで構成されていること、説明責任のシステムや開催国決定の厳格なルールを持っていること、透明性を高める改革を今も続けていることに大きな誇りを抱いている」と話した。(c)AFP