【6月7日 AFP】（写真追加）厳重な警備体制が敷かれている米ニューヨーク（New York）州最大の刑務所で、殺人で有罪判決を受けた受刑者2人が房室の壁に穴を開けて脱走した。警察は大規模な捜索活動を展開している。

 ニューヨーク州警察が6日発令した警報によると、リチャード・マット（Richard Matt）受刑者（48）とデービッド・スウェット（David Sweat）受刑者（34）が、ダニモーラ（Dannemora）にあるクリントン刑務所（Clinton Correctional Facility）から脱走した。2人は午前5時半のベッドチェック（就寝しているかどうかを確認する点検）で、房室にいないことが明らかになったという。

 警報発令の数時間後、アンドルー・クオモ（Andrew Cuomo）州知事は短文投稿サイトのツイッター（Twitter）で、競馬のベルモント・ステークス（Belmont Stakes）に出席する予定を取りやめ、クリントン刑務所に向かうことを明らかにした。クオモ知事は同刑務所で記者団に「2人は危険人物で、うち1人は保安官を殺害して収監された」と語り、深刻な状況であることを強調した。

 捜索活動には警官200人余りが動員され、警察犬部隊や警察特殊部隊（Special Weapons and Tactics、SWAT）、ヘリコプターなどが支援している。

 クオモ知事は2人の脱走経路とみられる写真をツイッターに投稿するとともに、2人が壁に穴を開けたりパイプを切断したりするのに電動工具を使っていたと説明した。

 マット受刑者とスウェット受刑者はベッドの上にトレーナーなどの衣類を置き、房室内にいるように見せかける偽装工作をしていた。クオモ知事によると、クリントン刑務所は1845年に設置されたが、これまでに厳重な警備体制が敷かれた区間から脱走した者はいなかった。

 スウェット受刑者は保安官代理を殺害した事件で、仮釈放なしの終身刑で服役中。一方のマット受刑者は男性を誘拐した上、暴行を加えて死亡させた事件で禁錮25年以上の実刑となり、収監されていた。(c)AFP