【6月17日 AFP】日本のポルノビデオ界のトップ男優「しみけん(Shimiken)」さんが、この国のポルノ男優の数は、絶滅の危機にある「ベンガルトラよりも少ない」とツイートしたとき、AFP東京支局はこの「事件」について綿密な調査を行う必要がある、いや、その義務がある、と感じた。

 ポルノ俳優が激減しているというのは確かだったが、それは、日本社会そのものを苦しめている問題なのか。市場規模200億ドル(約2兆5000億円)に上る日本のポルノビジネスを隅々まで調べる必要がある。だがいつもの仕事とは、まったく違った取材になるだろう。

 私はふと思った。「ポルノ業界について何を知っている?」。ほとんど何も知らなかった。編集者も笑ってはいなかった。私は恐れおののきながらグーグル(Google)に「日本のポルノ」と打ち込んで検索し、ヒットした制作プロダクション28社すべてにメールを送った。すぐに私たちのポルノ特集は、二つの記事へと発展していった。筋書きにはなかったことだ。

■特派員の驚き「熟年ポルノ」

 そのうちの型破りな展開の一つが、年配者による年配者向けの「熟年ポルノ」というジャンルだ。そして私たちは日本でいう「アダルト(成人)ビデオ」(AV)に、61歳の女性が初出演するという撮影現場へ招待された。場所は埼玉県の奥地だった。

 現場に到着して車から出たとき、私は手のひらが汗ばんでいることに気付いた。「何だこれは?アドレナリンではない」。それは恐怖だった。「あなたは編み物でもしているべきなのでは?」と、丁寧にいう方法はないものかと考えた。

 インタビューと写真撮影(服を着たままの)が無事終わったところで、カメラマンのアントワン・ブティエ(Antoine Bouthier)が変化球を投げた。動画のために、もう少しクローズアップを撮りたいと要求したのだ。監督は「もちろん。女優がシャワーを浴びるから、こちらに来てください」と言った。気まずい沈黙の後、私はひらめいてこう言った。「私は文章を書くだけだから、外で待ってますよ」