【6月5日 AFP】米食品医薬品局(US Food and Drug AdministrationFDA)の諮問委員会は4日、「女性用バイアグラ」とも呼ばれる薬剤「フリバンセリン(Flibanserin)」について、女性の性欲向上に役立ち得るとしてFDAに承認を促した。

 FDAは諮問委の判断に従うよう義務付けられてはいないが、FDAはその提言に従うことが多い。もしFDAがフリバンセリンを承認すれば、女性の性欲を高める薬が市場に初めて登場することになる。

 委員らは、賛成18、反対6でフリバンセリンの市販承認を促す判断を下した。ただし、医師らが、リスクを承知の上で同薬剤を必要とする女性のみに処方するための追加のリスク管理対策を課した。

 フリバンセリンは更年期前の女性向けの薬剤で、吐き気やめまい、眠気などの目立った副作用が出ることもある。

 クリスティーナ・チャン(Christina Chang)医師はFDAを代表して、諮問委に対し「数値でみた治療効果は小さい」と伝え、治験に参加した女性らが得た利益とリスクに関する証拠を基に検討するよう要請していた。

 しかし実際にフリバンセリンを服用した女性らは、効果は相当のものだったと証言している。夫に対する性欲減退に悩み、結婚生活自体が危ぶまれていたというある女性は、「私はフリバンセリンの治験に参加できたラッキーな女性1万1000人のうちの一人でした」「どんなに関係改善に役立った8か月間だったことでしょう。まるで電気のスイッチを入れたかのように、私にも変化が現れました」と語った。

■過去に2度の承認反対

 フリバンセリンを市販する試みは2010年と13年にも行われたが、いずれの場合も専門家らがプラシボ(偽薬)の場合と比べて決定的な効果はないとして実現しなかった。

 フリバンセリンを開発したのはドイツの製薬会社ベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelhein)だが、最初にFDAの承認を受けられなかった時点で米スプラウト・ファーマシューティカルズ(Sprout Pharmaceuticals)に売却された。

 FDAのウェブサイト上で公開されている文書によると、フリバンセリンを服用した女性らは満足のいく性的経験が1か月あたり平均で4.4回あったという。これに対し治験参加前は2.7回、またプラシボ服用グループでは3.7回だった。(c)AFP/Jean-Louis SANTINI