FIFA元理事、1998年と2010年のW杯招致での賄賂受諾を認める
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【6月4日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)のチャック・ブレイザー(Chuck Blazer)元理事が、1998年と2010年のW杯開催地決定の過程で、ほかの幹部らと一緒に収賄を画策したことを認めたとされる証言が3日、公表された。
20年にわたり北米サッカー界の象徴的存在であったブレイザー元理事は、世界のサッカー界を統括する組織を舞台に繰り広げられた大規模な汚職事件に絡み、金銭を強要した罪を認めていたことが判明した。
ブレイザー元理事の証言は、連邦裁判所の文書で「恐喝が横行する腐敗した組織」と称されているFIFAに対する米当局の捜査方針の鍵を握っている。
70歳のブレイザー元理事は、北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)とFIFAの執行委員会メンバーの主導的立場として、一連の容疑への関与を認めている。
ブレイザー元理事は現在、自身の判決を待つと同時に、ほかの幹部の裁判で証言を求められる可能性があり、最も重罪とされる恐喝では最大20年の服役が科されることになる。
しかし、同日の報道では共謀したとされるほかのFIFA幹部の名前は明らかにされていない。
ブレイザー元理事は答弁の中で、「1998年W杯の開催国決定をめぐり、1992年前後にほかの人物と共謀して賄賂の授受を促すことに合意した」と証言したとされている。
1998年大会の開催国は、最終的にモロッコを抑えてフランスに決定したが、容疑の詳細が記載されている裁判所の文書によれば、共犯者がモロッコから賄賂を受け取った際、ブレイザー元理事も同席していたとされている。
ブレイザー元理事はまた、自身と「ほかのFIFA執行委員会」が南アフリカで開催された2010年W杯(2010 World Cup)の招致活動で、賄賂を受け取ることに合意したことを認めた。
南アフリカの関係者は、開催地の権利を確保するために1000万ドルの賄賂を支払ったとする米当局の容疑を強く否定している。
さらにブレイザー元理事は、北中米カリブ海の王者を決めるゴールドカップ(CONCACAF Gold Cup)の1996年、1998年、2000年、2002年、そして2003年大会の放送権などの見返りとして、共犯者らと「賄賂やキックバックの授受に合意した」ことを認めている。
ブレイザー元理事は、2013年11月に米ニューヨーク(New York)で行われた非公開の審理で、脱税を含めた10件の罪を認めたあと、1000万ドルを支払って保釈された。
ブレイザー元理事は裁判官に対し、自身が直腸がんの治療中であり、糖尿病と冠動脈疾患も抱えていると訴えていた。
米メディアによると、連邦捜査局(FBI)は現在、サッカー関係者に巨額の賄賂が支払われた問題で、ジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)会長の役割を調査していると伝えられている。
ブラッター会長は2日、FIFA会長に再選したわずか4日後に辞意を表明し、サッカー界に衝撃を与えていた。(c)AFP