【6月3日 AFP】砂糖2さじ分ほどの重さしかない鳥が、「タカに対する警戒声」をまねることで自分の40倍も大きい天敵を追い払っていることが分かったとの研究結果が3日、発表された。

 英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」に発表された論文によると、オーストラリアに生息する鳥では最小の部類に入る体重約8グラムの「チャイロトゲハシムシクイ」は、自分よりはるかに大きい天敵のフエガラスを追い払うために、この鳴きまねを使う。

 チャイロトゲハシムシクイは、フエガラスよりもさらに大きく恐ろしい猛禽類のオオタカに対し他の鳥たちが発する警戒声を上手にまねる。これにより、フエガラスにオオタカが迫っていると勘違いさせて注意をそらし、自分のひな鳥が安全な場所に隠れるための時間稼ぎをしている。

 模倣は自然界では身を守る方法としては珍しくないが、研究チームは、チャイロトゲハシムシクイの戦略が効果てきめんであることに驚いたという。チームは、はくせいのフクロウに対する鳥の反応を実験している最中にこの生態に気づいた。

「実にずる賢いやり方だ」と、オーストラリア国立大学(Australian National University)でこの研究を主導したブラニスラフ・イジッチ(Branislav Igic)氏は語る。「非常に正確な鳴きまねとは言えないが、天敵を欺くには十分だ」

「フエガラスを攻撃しても無駄だ。フエガラスはチャイロトゲハシムシクイの40倍の大きさがあり、ひな鳥だけではなく親鳥も捕食してしまう」

(c)AFP