進化の隙間埋める鳥類の立体化石、ブラジルで発見
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【6月3日 AFP】1億1500万年前に生息していた、2本の矢に似た二股の尾を持つ、歯のある小型の鳥の化石を発見したとの研究報告が2日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。鳥類の進化に関する知識の隙間を埋める発見だという。
ブラジル北東部で発掘された、極めて保存状態の良いこの立体標本は、超大陸ゴンドワナ(Gondwana)からこれまでに発見された鳥類化石としては最古のものだ。現在の南半球にある大陸や島は、超大陸ゴンドワナが分裂して形成された。現在の鳥類にはみられないこの風変わりな構造の尾を持つ鳥の、地球史のこの時代の生息地としては、これまで中国しか知られていなかった。中国は超大陸ゴンドワナに属していない。
この化石の異例な点は、岩の中に残された鳥の形が、完全に平らに押しつぶされていないことだ。化石の形状が平らではなく、ある程度の体積を保持しているため、鳥の体型やどのような動きをしていた可能性があるかを理解するのに大きな助けになる。
論文共同執筆者のブラジル・リオデジャネイロ連邦大学(Federal University of Rio de Janeiro)のイスマー・カルバーリョ(Ismar Carvalho)氏は、AFPの取材に「この鳥は、小型のハチドリに似ている。大きな目を持ち、体は羽毛で覆われ、尾部には2本の長い羽があった。また、くちばしには歯が生えていた」と説明。くちばしの先端から、2本の柄が付いたリボン状の尾の付け根までの長さは約6センチという。
さらに研究チームは、2本の尾羽の対称的な部分に斑点の列があるのを発見した。チームはこれを、色模様の名残と考えている。尾羽は、体のバランスや飛行には役立たないように見えることを考えると、性的誇示、種の認識、視覚的コミュニケーションなどに使われていた可能性が高いと研究チームは結論付けている。
まだ名前が付けられていないこの新種の鳥は、エナンティオルニス類(Enantiornithes)として知られる鳥類種に分類される。エナンティオルニス類に属する鳥は、歯と爪のある翼を持ち、現存する子孫を残していないと考えられている。
鳥類の知られている中で最古の近縁種は、始祖鳥(Archaeopteryx)と考えられている。始祖鳥は、約1億5000万年前に生息していた羽毛を持つ飛行しない恐竜からの過渡的な種とみなされている。(c)AFP