【6月3日 AFP】(写真追加)中国・湖北(Hubei)省を流れる長江(揚子江、Yangtze River)で450人以上を乗せて転覆した客船「東方之星(Dongfangzhixing)」の生存者の証言を国営新華社(Xinhua)通信が2日、報じた。同船は、暴風雨の中、ほとんど何の前触れもないまま、いきなり転覆したという。

 1日夜に暴風雨に見舞われ転覆した同船に乗っていたツアーガイドのチャン・フェイ(Zhang Hui)さんによれば、転覆直前「ライフジャケットを手に取るのに30秒しかなかった」という。

 当時、雷がなり雨が船体に激しく打ち付け窓から客室に雨水が染み込む中、乗客の多くは就寝準備中だった。

 新華社通信が伝えたチャンさんの証言によれば、午後9時20分頃、乗客は雨水でぬれた寝具やテレビを船内の広間に運び始めた。

 チャンさんによれば、数分後に船の揺れはさらに激しくなり、船体は最大で45度傾き、テーブルの上の瓶が転がり始めたという。

 船はそれから1分もしないうちに転覆したと報じられている。

「東方之星」の転覆ではこれまでに十数人が救助された。一方で6人の遺体が収容されたが、依然として数百人が行方不明となっている。

 チャンさんは、最初のうちは少なくとも波間でもがく十数人の叫び声などが聞こえていたが、声はだんだん少なくなり、約30分後には声は聞こえなくなってしまったと語った。(c)AFP