英国パブ文化の救世主なるか?伝統制度廃止とビール新潮流
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【6月2日 AFP】英国で数百年間にわたって続いてきたパブ業界の商慣習を廃止する法案が3月に成立した。伝統的なパブは、新法によって国内で芽生え始めたビール再興が一段と活気づき、深刻な経営危機から脱出できることを期待している。
英国のパブの経営難は毎週、数十店舗が閉鎖に追い込まれるほど深刻だ。スーパーとの価格競争に禁煙法の施行、より健康に配慮した飲酒習慣への変化などが重なり、サッカーやフィッシュ&チップスと並ぶ英国の伝統文化といえるパブの減少に拍車がかかっている。
街の中心部は今でも週末の夜になると酒飲みたちがたむろするが、公式の統計では、アルコール消費量は2004年以降約18%減少し、若者の間では飲んで大騒ぎする機会も減っている。英国の伝統的なパブの保存運動をしている消費者団体カムラ(CAMRA、Campaign for Real Ale)によると「パブは今、かつてないほどの脅威にさらされて」おり、毎週29店舗が閉鎖を余儀なくされている。
こうした中、客たちの嗜好の変化にもパブは合わせようとしている。例えば最近では量をたくさん飲むよりも、質の良いビールをちびちび飲む方が好まれ、地ビールの人気が高い。しかし、こうして適応しようとするパブたちも大きな壁にぶち当たっている。
■歴史的商習慣、撤廃の行方は?
英国では数百年前から、ビール醸造元大手数社が支配する「パブ・カンパニーズ(Pub Companies)」(パブコ、Pubco)と呼ばれる制度があり、パブが売ることができるビールを指定してきた。英国のパブの約半数は今もこのパブコの系列だ。
巨大なパブコを代表する英国ビール・パブ協会(British Beer & Pub Association)のブリジッド・シモンズ(Brigid Simmonds)会長はAFPの取材に対し、パブコの系列制度によって、パブの経営コストと販売価格は低く抑えられていると話した。