【6月1日 AFP】小児がん患者の生存率が数十年前の4倍になったとの研究が5月31日、米シカゴ(Chicago)で開かれた米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical OncologyASCO)の年次総会で発表された。闘病後の平均余命もかつてと比べて延びているという。

 研究は、1970~1999年の間に米国とカナダの計31の病院で小児がんと診断された患者3万4000人あまりの5年生存率を観察した、小児がん生存者研究(Childhood Cancer Survivor Study)の分析に基づいている。研究の主執筆者で米セント・ジュード小児研究病院(St. Jude Children's Research Hospital)の小児腫瘍医、グレゴリー・アームストロング(Gregory Armstrong)医師は、「50年前は小児がん患者の20%しか助からなかったが、今日の5年生存率は80%を超える」と話す。

 また、同研究によると、小児がんと診断されてから5年後に生存している子どものうち、15年以内に死亡すると予想されているのは6%で、1970年代の12.4%から大きく改善した。

 さらに、近年がんと診断された生存者が、二次がん、心疾患、肺病などの健康問題で死亡するリスクも大幅に低下していることが統計的に示されたという。

 多くの小児がんにおいて、治療の強度を弱めるなど、生存率を高めるための治療法が徐々に改善されていると研究チームは指摘。アームストロング医師によると、「最も重大な変化をもたらしてきたのはおそらくがん治療の現代化だが、生存者に対する支持療法、スクリーニング、新たながんや心疾患、肺病といった後から現れた疾患に対する治療の改善なども、患者の余命を延ばす上で重要な役割を果たしてきた」という。(c)AFP