【5月29日 AFP】今月9日にスペインでエアバス(Airbus)の軍用輸送機「A400M」が墜落し、乗っていた6人のうち4人が死亡、2人が重体となっている事故で、同機から回収されたフライトレコーダー(飛行記録装置)の分析から、事故機に構造上の欠陥はなかったものの最終組み立てに問題があったことが分かった。エアバス幹部が29日の新聞に掲載予定のインタビューで語った。

 フライトレコーダーの最初の分析結果を受け取ったエアバスのマーワン・ラフード(Marwan Lahoud)最高戦略マーケティング責任者はドイツ日刊紙ハンデルスブラット(Handelsblatt)に対し、機体の構造に欠陥はなかったが、最終組み立ての質に深刻な問題があったことがブラックボックスの分析で確認されたと述べた。

 同紙は報道を前に声明を出し、A400Mの最終組み立て時に行われたターボプロップエンジン制御装置の取り付け作業に問題があり、それが同機のエンジン動作不良と墜落につながった可能性があると指摘した。

 エアバスは今月19日、墜落機の調査とは別に行った内部試験で、エンジンの動作を制御する電子制御装置(ECU)に技術的な欠陥がある可能性を警告した。匿名を条件に取材に応じたある専門家は、ソフトウエアの欠陥がエンジン出力の制御不能を招くこともあり得ると話していた。エアバスは検査に加え、必要に応じてエンジンやECUの交換を推奨したが、この問題とスペインでの墜落を直接結び付けてはいなかった。

 スペイン南部セビリア(Seville)北郊にある空港で行われた試験飛行で、離陸の数分後に発生した今回の墜落事故を受けて、スペイン・英・独・トルコ・マレーシアの5か国は、スペイン当局が主導する調査の結果が出るまでA400M機の運用を一時的に停止している。(c)AFP